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2012年のサムスン、ジョブズを“盗む”(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

このところのサムスンは、これまでアップルが追求してきた感性戦略を連想させる。

2010年6月、米サンフランシスコのモスコーンセンター。 アップルの創業者スティーブ・ジョブズがiPhone4の公開行事で映像電話機能「フェイスタイム」を試演した。 ジョブズが「世界で最も親しい友人の一人、ジョニーに電話をする」と述べた後、ボタン一つを押すと、アップルのジョナサン・アイブ首席デザイナーが画面に登場した。 iPhoneが人と人をつなぐ‘温かい機器’という点を強調するためのパフォーマンスだった。

続いてジョブズは新しく制作した広告を見せた。 出張中の夫に娘が自転車に乗る姿を見せる妻、卒業式のガウンを着た孫の姿を見て微笑む祖父、派兵された軍人の夫に胎児の超音波写真を見せる妊婦の妻、耳が不自由な恋人が手話をする姿が映し出された。 場内が粛然とすると、ジョブズはこう語った。 「私たちがこの仕事をなぜしているか、改めて確認させてくれるいくつかの瞬間の一つだ」。

その3カ月前、2010年3月に開かれたサムスン電子の「ギャラクシーS」発表行事。 申宗均(シン・ジョンギュン)サムスン電子社長(無線事業部長)は「超高画質・超高速・超スリムスマートフォン」を強調した。 現存する最高画質のスーパーAMOLED、厚さ9.9ミリの超スリムデザインをアピールした。 翌年4月のギャラクシーS2発売では「より速く、より鮮明で、より薄くなったスマートフォン」と伝えた。 「現存最高速度1.2GHzデュアルコア」はサムスンの自慢だった。新製品が出る度にハードウェアとスペック(仕様)を前面に出してきたサムスン電子が、今月3日のギャラクシーS3発表では変化した姿を見せた。 申社長はギャラクシーS3を「人のための」スマートフォンと命名し、「スマートフォンがあなたを見て、あなたの話を聞き、あなたを理解する」と述べた。 直観的なユーザーエクスペリエンス、人体工学的なデザイン、感性、自然、スマートながらもシンプル、などの言葉が申社長の口から次々と出てきた。


誇れるハードウェアがなかったわけではない。 この製品はクアッドコアアプリケーションプロセッサー(AP)を搭載し、スーパーAMOLEDディスプレーなど新技術のハードウェアが数多く適用された。 にもかかわらずスペックは少しの言及にとどめて、さまざまな使用者便宜機能を前面に出した。 これまでアップルが追求してきた感性戦略を連想させる。

昨年までスペックとハードウェアを商品戦略の核心と考えてきたサムスンが、感性中心に転換した。 無線事業部デザイングループのイ・ミンヒョク常務は「直観を越えて、人が機器を理解するのではなく、機器が人を理解する方向に発展させようとした」と述べた。 瞳と顔を認識して画面が消えない「スマートプレー」、電話機を手で握れば不在中の電話・メッセージを知らせる「スマートアラート」は、ソフトウェアとハードウェアの革新が結びついた結果だ。



2012年のサムスン、ジョブズを“盗む”(2)

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