--日本の話をしよう。 低成長の沼が深い。 「失われた10年」の原因は何か。
「正確に言えば、90年代初めに始まって‘失われた20年’だ。 日本が長期不況に陥ったのは政治の失敗が関係している。 90年代に不動産バブルがはじけて、銀行の不良債権が膨らんだ当時、果敢に改革することができなかった。 天文学的な国民の税金を注ぎ込んで、ほとんど漢方薬を与えるレベルで効果を維持した。 結局、政府は莫大な負債の山に座ることになった。 政治的には96年に小沢一郎元民主党代表と連立した細川政権当時、中選挙区制を小選挙区制に変えたのがボディーブローとなった。 その時から日本の政治家の度量が小さくなった。 例えば横浜は市長1人に国会議員8人だ。 このため広い見解を持って国全体とグローバル経済を考える政治家が減った。 ほとんどが地下鉄駅で拡声器を持って中年女性の注目を集める‘拡声器政治’に熱を上げるようになった」
--国民が政治を変えることはできないのか。
「国民がこうした政界の問題に不満を抱かない。 特に日本の若者は不満どころか、成功に対する欲も少ない。 現在の状態にただ満足する。 欲を捨ててアルバイトで生活を維持する若者も多い。 高齢層は主要先進国の中で最もお金が多い。 日本人は死亡時に保有している1人当たりの総資産が平均3500万円(約5億ウォン)にのぼる。 このお金を消費したり投資したりすれば経済の活力に役立つが、ただ持っているだけなので低成長の流れを断ち切るのが難しい」
--日本は世界3大経済大国だ。 危機を何度も克服した底力があるのでは。
「もちろんそうだ。 しかし低成長の流れを変えるには必ずしなければならないことがある。 グローバル市場に積極的に飛び込んで海外の投資を誘致することだ。 現時点で日本経済に希望を与えるのはグローバル競争力を持つ部品・素材企業だ。 世界の多くの機械・電子製品には日本が作った部品が入る。 タイヤ生産企業のブリヂストン、建設装備企業のコマツなどが代表例だ。 こうした企業が日本経済の成長を主導できる」
--7年前の中央日報のインタビューで「韓国が日本に追いつくのはまだまだだ」という趣旨の話をした。 今でも同じ考えか。
「その当時、サムスン電子がソニーの実績を抜いた。 サムスンがもっと頑張るべきだと強調する過程で出てきた言葉だった。 やや誤解の余地があった。 当時はサムスンなど韓国大企業の実績や未来ビジョンが今に比べて明確でなかった。 李健熙会長は2世の経営者として努力し、大きな成果を出した。 結論的に言えば、韓国が日本に追いつくのは本質でない。 重要なのは、韓国が日本の失敗を他山の石として韓国だけの強みを生かし、低成長を克服しなければならないということだ」
--何を他山の石とするのか。
「日本は過度な福祉が低成長を招いた。 こうした側面で、大統領選挙を控えて韓国で福祉論争が起きているのは残念だ。 韓国はまだもっと成長しなければならない時期だ。 福祉を看板政策に選択して成功した政府は世界のどこにもない。 福祉は麻薬と同じだ。 一度味わえば抜け出しにくい。 日本は莫大な国家負債を抱えているが、国民は救急車をタクシーのように呼び、非常に安く医療保険を利用する。 今の日本は結果の不平等を認めない状況だ。 運動会で10人が競走をすれば順位が決まるが、日本の人たちはゴール地点の前で止まって待ち、みんなが一緒に手を握って入っていく。 韓国はそうならないことを望む」
--韓国の強みを挙げてほしい。
「若い人材が優れている。 少子高齢化のために成長が難しいという懸念は少し違う。 21世紀は人口の量よりも質が重要だ。 韓国の人口は日本の3分の1にしかならないが、海外留学をして外国語に堪能な若者を見ると、韓国が日本より優れている。 韓国の若者に深い感銘を受けている。 韓国の大企業と政府は、若者が創業して自分の能力を思う存分発揮できる土台を準備するべきだ」
--ソニーやパナソニックなど日本の看板大企業の退潮が目立つ。 サムスン電子、現代自動車など好調な韓国大企業と対照的だ。
「日本と韓国は底辺が違う。 日本にはサムスン電子、現代自動車のようなグローバル大企業が100社以上ある。 サムスン電子がソニー・パナソニックに勝ってグローバルITトップ企業になったことを国対国のレベルで見るべきではない。 企業世界の自然な世代交代だ。 ソニーもかつて米国企業に勝って頂上を極めた。 同じように今の韓国企業の相当数はチャイワン(中国+台湾)企業の猛追撃を受けている。 日本企業は最近、日本国内よりも海外に拠点を置いて収益を出している。 過去には、韓国の大企業が日本の部品を大量に購入し、日本との貿易不均衡が大きいという指摘があった。 最近、韓国の対日貿易赤字が減ったようだが、実際にはそうではない。 多くの日本企業が韓国に工場を設立し、以前よりもはるかに速かに韓国の大企業に部品を供給しているということを知らなければならない」
--低成長克服の具体的なアイデアは。
「日本第2の都市の大阪の変身に注目してほしい。 若い橋下徹大阪市長が率いる‘大阪都構想’がそれだ。 大阪を中心に関西地方を経済特区に指定した後、東京に続くもう一つの首都にしようというのが核心内容だ。 中央集権ではなく、地方分権を通じて都市と地域経済を生かそうという趣旨だ。 このため橋下市長は税金を増やすのではなく、海外から企業と投資家を誘致する方法を選んだ。 国民のために望ましい選択だ。 日本の中央政治は官僚的でアマチュア水準なので、中央で何かを変えるよりも、地方でこうした成功ストーリーを作るほうがはるかに早い。 大阪都が完成すれば、国内総生産(GDP)基準で世界8位の経済規模になる可能性がある。 韓国では仁川(インチョン)経済自由区域や済州特別自治道が大阪と似たモデルだ。 しかし韓国も仁川や済州道よりもはるかに大きい次元の地域発展構想を立てる必要がある」
大前氏「韓国、過剰福祉で低成長する日本の轍を踏むべきでない」(1)
「正確に言えば、90年代初めに始まって‘失われた20年’だ。 日本が長期不況に陥ったのは政治の失敗が関係している。 90年代に不動産バブルがはじけて、銀行の不良債権が膨らんだ当時、果敢に改革することができなかった。 天文学的な国民の税金を注ぎ込んで、ほとんど漢方薬を与えるレベルで効果を維持した。 結局、政府は莫大な負債の山に座ることになった。 政治的には96年に小沢一郎元民主党代表と連立した細川政権当時、中選挙区制を小選挙区制に変えたのがボディーブローとなった。 その時から日本の政治家の度量が小さくなった。 例えば横浜は市長1人に国会議員8人だ。 このため広い見解を持って国全体とグローバル経済を考える政治家が減った。 ほとんどが地下鉄駅で拡声器を持って中年女性の注目を集める‘拡声器政治’に熱を上げるようになった」
--国民が政治を変えることはできないのか。
「国民がこうした政界の問題に不満を抱かない。 特に日本の若者は不満どころか、成功に対する欲も少ない。 現在の状態にただ満足する。 欲を捨ててアルバイトで生活を維持する若者も多い。 高齢層は主要先進国の中で最もお金が多い。 日本人は死亡時に保有している1人当たりの総資産が平均3500万円(約5億ウォン)にのぼる。 このお金を消費したり投資したりすれば経済の活力に役立つが、ただ持っているだけなので低成長の流れを断ち切るのが難しい」
--日本は世界3大経済大国だ。 危機を何度も克服した底力があるのでは。
「もちろんそうだ。 しかし低成長の流れを変えるには必ずしなければならないことがある。 グローバル市場に積極的に飛び込んで海外の投資を誘致することだ。 現時点で日本経済に希望を与えるのはグローバル競争力を持つ部品・素材企業だ。 世界の多くの機械・電子製品には日本が作った部品が入る。 タイヤ生産企業のブリヂストン、建設装備企業のコマツなどが代表例だ。 こうした企業が日本経済の成長を主導できる」
--7年前の中央日報のインタビューで「韓国が日本に追いつくのはまだまだだ」という趣旨の話をした。 今でも同じ考えか。
「その当時、サムスン電子がソニーの実績を抜いた。 サムスンがもっと頑張るべきだと強調する過程で出てきた言葉だった。 やや誤解の余地があった。 当時はサムスンなど韓国大企業の実績や未来ビジョンが今に比べて明確でなかった。 李健熙会長は2世の経営者として努力し、大きな成果を出した。 結論的に言えば、韓国が日本に追いつくのは本質でない。 重要なのは、韓国が日本の失敗を他山の石として韓国だけの強みを生かし、低成長を克服しなければならないということだ」
--何を他山の石とするのか。
「日本は過度な福祉が低成長を招いた。 こうした側面で、大統領選挙を控えて韓国で福祉論争が起きているのは残念だ。 韓国はまだもっと成長しなければならない時期だ。 福祉を看板政策に選択して成功した政府は世界のどこにもない。 福祉は麻薬と同じだ。 一度味わえば抜け出しにくい。 日本は莫大な国家負債を抱えているが、国民は救急車をタクシーのように呼び、非常に安く医療保険を利用する。 今の日本は結果の不平等を認めない状況だ。 運動会で10人が競走をすれば順位が決まるが、日本の人たちはゴール地点の前で止まって待ち、みんなが一緒に手を握って入っていく。 韓国はそうならないことを望む」
--韓国の強みを挙げてほしい。
「若い人材が優れている。 少子高齢化のために成長が難しいという懸念は少し違う。 21世紀は人口の量よりも質が重要だ。 韓国の人口は日本の3分の1にしかならないが、海外留学をして外国語に堪能な若者を見ると、韓国が日本より優れている。 韓国の若者に深い感銘を受けている。 韓国の大企業と政府は、若者が創業して自分の能力を思う存分発揮できる土台を準備するべきだ」
--ソニーやパナソニックなど日本の看板大企業の退潮が目立つ。 サムスン電子、現代自動車など好調な韓国大企業と対照的だ。
「日本と韓国は底辺が違う。 日本にはサムスン電子、現代自動車のようなグローバル大企業が100社以上ある。 サムスン電子がソニー・パナソニックに勝ってグローバルITトップ企業になったことを国対国のレベルで見るべきではない。 企業世界の自然な世代交代だ。 ソニーもかつて米国企業に勝って頂上を極めた。 同じように今の韓国企業の相当数はチャイワン(中国+台湾)企業の猛追撃を受けている。 日本企業は最近、日本国内よりも海外に拠点を置いて収益を出している。 過去には、韓国の大企業が日本の部品を大量に購入し、日本との貿易不均衡が大きいという指摘があった。 最近、韓国の対日貿易赤字が減ったようだが、実際にはそうではない。 多くの日本企業が韓国に工場を設立し、以前よりもはるかに速かに韓国の大企業に部品を供給しているということを知らなければならない」
--低成長克服の具体的なアイデアは。
「日本第2の都市の大阪の変身に注目してほしい。 若い橋下徹大阪市長が率いる‘大阪都構想’がそれだ。 大阪を中心に関西地方を経済特区に指定した後、東京に続くもう一つの首都にしようというのが核心内容だ。 中央集権ではなく、地方分権を通じて都市と地域経済を生かそうという趣旨だ。 このため橋下市長は税金を増やすのではなく、海外から企業と投資家を誘致する方法を選んだ。 国民のために望ましい選択だ。 日本の中央政治は官僚的でアマチュア水準なので、中央で何かを変えるよりも、地方でこうした成功ストーリーを作るほうがはるかに早い。 大阪都が完成すれば、国内総生産(GDP)基準で世界8位の経済規模になる可能性がある。 韓国では仁川(インチョン)経済自由区域や済州特別自治道が大阪と似たモデルだ。 しかし韓国も仁川や済州道よりもはるかに大きい次元の地域発展構想を立てる必要がある」
大前氏「韓国、過剰福祉で低成長する日本の轍を踏むべきでない」(1)
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