ギリシャ神話に登場するダイダロスは手先が優れた匠人だ。彼は息子のイカロスとともにクレタ島の迷宮に閉じ込められる身になる。脱出を夢見る息子のためダイダロスは鳥の羽根をロウで固め翼を作る。翼を両脇につけたイカロスは脱出に成功する。しかし浮き立った心から空高く上がったイカロスは太陽の熱でロウが溶けたため落ちて死んでしまう。
「光明星3号」の打ち上げに失敗した北朝鮮を見ながら「イカロスの翼」が思い出された。世界の制止を振り切って「銀河3号」ロケットの発射ボタンを押した。空に昇って1分ほどでバラバラになり西海(黄海)に落ちてしまった。発射10分後には大気圏外に入り地球軌道に進入するという大言壮語は見る影もなくなった。空を飛んで見せると大声を上げ野次馬らの前で絶壁から飛び降りそのまま墜落死した格好だ。
金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去する2カ月前に残したという「10・8遺訓」の一部がきのう本紙で公開された。父の金正日が息子の金正恩(キム・ジョンウン)に残した遺言だ。遺訓で金正日は国防をおろそかにすれば大国の奴隷になると言いながら先軍思想を最後まで守れと注文する。特に核と長距離ミサイルを絶えず発展させ十分に保有することが韓半島の平和を維持するものだと強調する。米国との心理的対決で必ず勝ち、合法的核保有国に堂々と上らなければならないという求めも忘れなかった。
金正恩が米国との合意を無視して衛星発射を装い長距離ミサイルの発射に出たのは父の遺訓に従ったものとみられる。成功したとすれば心理的にはもちろん軍事的にも米国を圧迫する効果を得られただろう。だが失敗に終わったことで二兎を追う者は一兎をも得ずの格好となった。3代世襲の完成を記念するため巨額を投じて準備した祝砲が不発弾となってしまい恥さらしでもこれほどの恥さらしはない。失敗に終わった花火1回で北朝鮮住民全体を数カ月間腹いっぱいに食べさせることができるお金が消えた。米国から提供されることになっていた24万トンの食糧も無にし国際社会の非難は非難として受けている。今後ミサイル輸出にまで支障をきたすことになり、損害は並大抵でない。
金正日が本当に息子を考えたとすれば他の遺訓を残すべきだった。どうせ核兵器は北朝鮮が保有できない兵器だ。たとえ持ったとしても国際社会が認めることができないのが国際政治の現実だ。これを合法的に保有するとふんばればふんばるほど北朝鮮の住民ばかりが厳しくなり政権は不安になる。それよりは改革と開放を通じ体制を徐々に変化させろと遺訓を残しておくのが正しかった。
太陽に近づけば溶けてなくなる役立たずの翼をつけた父やそれを付けて飛んでみせるとあがく息子も愚かなのは同じだ。
ペ・ミョンボク論説委員・巡回特派員
「光明星3号」の打ち上げに失敗した北朝鮮を見ながら「イカロスの翼」が思い出された。世界の制止を振り切って「銀河3号」ロケットの発射ボタンを押した。空に昇って1分ほどでバラバラになり西海(黄海)に落ちてしまった。発射10分後には大気圏外に入り地球軌道に進入するという大言壮語は見る影もなくなった。空を飛んで見せると大声を上げ野次馬らの前で絶壁から飛び降りそのまま墜落死した格好だ。
金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去する2カ月前に残したという「10・8遺訓」の一部がきのう本紙で公開された。父の金正日が息子の金正恩(キム・ジョンウン)に残した遺言だ。遺訓で金正日は国防をおろそかにすれば大国の奴隷になると言いながら先軍思想を最後まで守れと注文する。特に核と長距離ミサイルを絶えず発展させ十分に保有することが韓半島の平和を維持するものだと強調する。米国との心理的対決で必ず勝ち、合法的核保有国に堂々と上らなければならないという求めも忘れなかった。
金正恩が米国との合意を無視して衛星発射を装い長距離ミサイルの発射に出たのは父の遺訓に従ったものとみられる。成功したとすれば心理的にはもちろん軍事的にも米国を圧迫する効果を得られただろう。だが失敗に終わったことで二兎を追う者は一兎をも得ずの格好となった。3代世襲の完成を記念するため巨額を投じて準備した祝砲が不発弾となってしまい恥さらしでもこれほどの恥さらしはない。失敗に終わった花火1回で北朝鮮住民全体を数カ月間腹いっぱいに食べさせることができるお金が消えた。米国から提供されることになっていた24万トンの食糧も無にし国際社会の非難は非難として受けている。今後ミサイル輸出にまで支障をきたすことになり、損害は並大抵でない。
金正日が本当に息子を考えたとすれば他の遺訓を残すべきだった。どうせ核兵器は北朝鮮が保有できない兵器だ。たとえ持ったとしても国際社会が認めることができないのが国際政治の現実だ。これを合法的に保有するとふんばればふんばるほど北朝鮮の住民ばかりが厳しくなり政権は不安になる。それよりは改革と開放を通じ体制を徐々に変化させろと遺訓を残しておくのが正しかった。
太陽に近づけば溶けてなくなる役立たずの翼をつけた父やそれを付けて飛んでみせるとあがく息子も愚かなのは同じだ。
ペ・ミョンボク論説委員・巡回特派員
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