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【社説】期待と憂慮の米朝合意

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
米国と北朝鮮が異例のワシントン・平壌(ピョンヤン)同時発表で、先月23、24日に北京で行った米朝協議の結果を公式発表した。双方が発表した合意内容は期待以上のものだ。この3年間こう着局面から抜け出せなかった6カ国協議の再開が視野に入ったといえる。金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去後に韓半島を取り巻いた不確実性をある程度除去するのに寄与したという点で、協議結果を前向きに評価したい。

合意の核心は非核化事前措置と対北朝鮮支援の交換だ。北朝鮮は韓国と米国が6カ国協議再開のための事前措置として要求してきたウラン濃縮プログラム(UEP)稼働中断と核・ミサイル実験中断(モラトリアム)および国際原子力機関(IAEA)視察団の復帰を受け入れた。その代わり米国は24万トンの栄養支援を北朝鮮に提供することにした。人道的支援で包装された事実上の政治的取引ということだ。米国は北朝鮮に敵対的な意図を持っておらず、主権と平等に基づいた相互尊重の精神で米朝関係を改善する意図があることを明確にした。また双方は北朝鮮の核など韓半島問題の根本的解決のために9.19共同声明の履行意志を再確認した。文化・教育・スポーツなど民間分野の人的交流の強化にも合意した。米朝が敵対的意図を清算して関係を改善する方向に進むことにしたのは、6カ国協議当事国はもちろん、国際社会が歓迎するに値する決定だ。

11月の大統領選挙とイラン核問題を抱えた米国のオバマ政権としては、北朝鮮をなだめて韓半島情勢を安定させる必要があるという戦略的な判断をしたとみられる。北朝鮮としては、金正恩(キム・ジョンウン)後継体制が正常に作動し、さらに米国から対話の相手として認められていることを誇示する効果を狙ったと考えられる。足元の火である食糧支援確保という現実的な利益も計算に入れたのだろう。お互いの利害が一致し、双方が前向きな方向で同時に意味のある第一歩を踏み出したというのが私たちの判断だ。


しかし「悪魔は細部に宿る」という言葉もあるように、合意内容を具体化するためには、まだ越えるべきヤマが多い。さらに双方の発表内容には一部で隔たりも見える。北朝鮮は6カ国協議が再開されれば、対北朝鮮制裁の解除と軽水炉の提供を優先的に議論することにしたと主張しているが、米国側の発表にはこうした内容がない。また北朝鮮はUEP稼働中断とモラトリアムに「双方間の結実ある会談が進行される期間」という但し書きを付けている。UEPの場合も「臨時中止」という表現を強調している。今後ニューヨークチャンネルを通した実務協議過程でどんな突発変数が出てくるか分からない。追加の議論で双方間の合意結果が早期に具体的な結実につながることを期待する。

問題は韓国政府の立場だ。韓国哨戒艦「天安(チョンアン)」爆沈事件後から続いている5・4対北朝鮮制裁措置がすぐにも論議の対象になる可能性が高い。米国は「対北朝鮮制裁は北朝鮮住民の生活を狙ったものではない」と主張することで、非軍事分野の対北朝鮮制裁解除と5・24措置の衝突の可能性が憂慮される。南北関係の改善なしに米朝関係の根本的改善は難しいという米国の公式立場だけ信じて手放しにはしていられない状況だ。南北関係改善のためには何よりも北朝鮮の態度が変わらなければならないが、韓国ももう少し前向きかつ積極的に出る必要がある。米朝関係の進展に合わせて南北関係を改善させる画期的な対策が必要な時期だ。



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