これは経済的な背景や国際政治の名分を考えても同じだ。 米国の経済的な支援なしにイスラエルが対イラン戦争を成功させるのは難しい。 過去10余年間に2つの戦争をした後、最悪の財政危機を迎えている米国としては、イスラエルを全幅支援し、必要なら軍事介入を決心するという立場にはない。 サウジなど近隣主要産油国の財政支援が死活的な理由はここにある。 さらに米国やイスラエルの対イラン軍事行動に対する国連安全保障理事会の決議案確保が難しいという点を勘案すると、これら中東国家の公式的な支持、賛同はさらに重要となる。
しかし筆者が会ったサウジアラビア人のほとんどは、イスラエル-イラン紛争に関与することを望んでいなかった。 サウジ政府はすでに国連安保理の決議なしに、いかなる形態の支援も不可能だという立場を明確にしている。 たとえシーア派国のイランがスンニー派国の自国にとって潜在的な脅威になるとしても、明示上、米国やイスラエル側に肩入れできないということだ。 これは自国国民の反米・反政府情緒爆発につながる可能性があるからだ。
さらに困難な問題は、自国の安保自体が危険に直面するという心配だ。 砂漠の真ん中に建設されたサウジの首都リヤドは、東に350キロ離れたダンマンから海水を淡水化してパイプラインで供給を受けている。 もしイランの報復攻撃でこのパイプラインが破壊された場合、700万人のリヤド住民の80%が3日以内に飲料水不足に苦しむというのが、サウジ安保専門家らの説明だ。 さらにサウジ油田の90%が集まる東部油田地帯は、イランとの戦争が始まればすぐに攻撃される公算が大きいということだ。 他のガルフ国家も事情は似ている。 イスラエルの対イラン軍事行動に反対する理由だ。
サウジ情報機関の責任者として長く在職したトゥルキ・ファイサル王子はイスラエルとイランを含む「中東非核地帯化」構想を提案したことがあるが、実現の可能性は依然として疑問だ。 むしろ交渉が失敗してイランの核武装が既定事実化すれば、サウジも核抑止力を構築しなければならないというのが主流の見解だ。 一部は米国の核の傘を使えばいいと主張するが、米国の影響力が強まることを懸念する人々がこれに反対している。 独自の核武装が代案として登場した背景だ。 もちろん米国がこれを許すはずがない。
ここで筆者が感じた既視感(dejavu)は北朝鮮の核問題に絡む韓国の立場だった。 戦争が引き起こす民間被害が懸念されるため、北朝鮮の核開発を阻止するための軍事行動に賛成できないが、かといって経済制裁も効果を出せないという局面だ。 核ドミノの脅威に直面したサウジと韓国の同病を痛感しながら、交渉を通した解決の可能性にまた希望を抱いてみる。
文正仁(ムン・ジョンイン)延世(ヨンセ)大教授・政治外交学
【中央時評】イ覃ン核とサウジ、北核と韓国(1)
しかし筆者が会ったサウジアラビア人のほとんどは、イスラエル-イラン紛争に関与することを望んでいなかった。 サウジ政府はすでに国連安保理の決議なしに、いかなる形態の支援も不可能だという立場を明確にしている。 たとえシーア派国のイランがスンニー派国の自国にとって潜在的な脅威になるとしても、明示上、米国やイスラエル側に肩入れできないということだ。 これは自国国民の反米・反政府情緒爆発につながる可能性があるからだ。
さらに困難な問題は、自国の安保自体が危険に直面するという心配だ。 砂漠の真ん中に建設されたサウジの首都リヤドは、東に350キロ離れたダンマンから海水を淡水化してパイプラインで供給を受けている。 もしイランの報復攻撃でこのパイプラインが破壊された場合、700万人のリヤド住民の80%が3日以内に飲料水不足に苦しむというのが、サウジ安保専門家らの説明だ。 さらにサウジ油田の90%が集まる東部油田地帯は、イランとの戦争が始まればすぐに攻撃される公算が大きいということだ。 他のガルフ国家も事情は似ている。 イスラエルの対イラン軍事行動に反対する理由だ。
サウジ情報機関の責任者として長く在職したトゥルキ・ファイサル王子はイスラエルとイランを含む「中東非核地帯化」構想を提案したことがあるが、実現の可能性は依然として疑問だ。 むしろ交渉が失敗してイランの核武装が既定事実化すれば、サウジも核抑止力を構築しなければならないというのが主流の見解だ。 一部は米国の核の傘を使えばいいと主張するが、米国の影響力が強まることを懸念する人々がこれに反対している。 独自の核武装が代案として登場した背景だ。 もちろん米国がこれを許すはずがない。
ここで筆者が感じた既視感(dejavu)は北朝鮮の核問題に絡む韓国の立場だった。 戦争が引き起こす民間被害が懸念されるため、北朝鮮の核開発を阻止するための軍事行動に賛成できないが、かといって経済制裁も効果を出せないという局面だ。 核ドミノの脅威に直面したサウジと韓国の同病を痛感しながら、交渉を通した解決の可能性にまた希望を抱いてみる。
文正仁(ムン・ジョンイン)延世(ヨンセ)大教授・政治外交学
【中央時評】イ覃ン核とサウジ、北核と韓国(1)
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