２００６年は日本人投手・松坂大輔（ボストン）にとって最高の年だった。松坂は日本代表の初代ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）チャンピオンに貢献し、ＭＶＰも受賞した。そしてその年末にボストン・レッドソックスと契約し、自分の夢だったメジャーリーグのユニフォームを着ることになった。当時、米国舞台への懸け橋の役割をした人物が‘スーパーエージェント’スコット・ボラス氏だった。

１９９８年に入団し、０６年まで西武でプレーした松坂は、日本リーグで通算１０８勝６０敗、防御率２．９５を記録し、‘国民投手’になった。有名マーケティングディレクターの山田学氏は松坂の人気について「どの選手や芸能人とも格が違う」と評価した。

記者は松坂がボストン移籍を確定した時、ちょうど日本にいた。当時、どの新聞もテレビも松坂の話題ばかりだった。もちろん松坂の米国進出に反対意見がなかったわけではない。松坂がいない日本プロ野球は想像できないとして、松坂の空白がリーグに大きな影響を与えるという懸念もあった。しかし「全盛期に行って競争するべきだ」という声が大半だった。結局、西武は惜しみながらも公開入札を許可し、フランチャイズスターの夢を尊重した。


現在、起亜（キア）タイガーズの投手・尹錫ミン（ユン・ソクミン）が当時の松坂と似た立場だ。ＷＢＣで驚くほどの球威を見せ、メジャーのスカウトの注目を受け始めた点、ボラス氏と契約した点などがそうだ。特に尹錫ミンはポスティングシステム資格を得た今年に入って最高の投球を見せ、メジャー球団の関心を集めている。

宣銅烈（ソン・ドンヨル）起亜監督は「尹錫ミンと一緒に来年の韓国シリーズで優勝する」と述べ、すんなり手放す考えがないことを示唆した。しかし尹錫ミンはすでに０９年に優勝を経験している。二度目の優勝のためにメジャー進出を延ばしたくはないはずだ。

起亜球団は尹錫ミンの公開入札問題に関し、近く公式的に立場を表明すると明らかにした。その時まで尹錫ミンの緊張は続くだろう。西武が松坂を送り出したように、起亜も尹錫ミンにメジャー進出の機会を与えることを望む。