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【社説】偽りと怪談に踊らされる社会

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
いま私たちは何が真実で何が偽りなのか識別するのが難しい世の中に生きている。先週末からサイバー空間は「BBK核心人物のエリカ・キムと韓相律(ハン・サンリュル)元国税庁長が米軍の烏山(オサン)飛行場から入国した」というコメントが広まっている。爆発性が強い内容であるだけに書き込みも多い。「犯罪人を連れてきたのでなく迎えた」「妙な時期の米国の戦略」「李大統領が米国に丸め込まれて韓米自由貿易協定(FTA)に命をかける」….その中でも「においがする。本当に常識が通用する世の中で暮らしたい」というコメントが圧巻だ。

果たして真実は何か。烏山飛行場入国説は先月21日付のある週刊誌に掲載された内容だ。該当記者は「信頼できる消息筋から情報提供を受けた」と主張している。しかし当時出てきた多くの記事を検索すれば真実が見える。韓元庁長は2月24日午前5時15分、大韓航空KE062便で米ロサンゼルス経由で仁川(インチョン)国際空港に到着した。あまりにも敏感であるため、検察捜査官と取材陣が現場を見守った。検察はエリカ・キムも「仁川空港に来た」と確認する。はるかに核心人物である金敬俊(キム・ギョンジュン)も手錠をかけられたまま仁川空港に来たし、契約書原本を持ったその母親も仁川空港に入ってきた。その度に空港から検察庁舎まで取材陣の追走場面が繰り返された。

ある週刊誌の記者がいう‘信頼できる消息筋’を信じ込み、「ついに真実が明らかになった」と大騒ぎしなければならないのか。両目を大きく開いて現場を見守った多くの記者はアバターを見たというのか。KE062便は同じ時間に仁川空港と誤算飛行場を行き来したのか。どちらが常識で、どちらが非常識か。果たしてどちらが「常識が通じる世の中で暮らしたい」と嘆かなければならないのか問い返したい。


いま私たちの社会には多くの怪談が登場していて、08年のBSE(牛海綿状脳症)事態を思い出させる。韓米FTAから保健医療サービスは除かれたにもかかわらず、ろうそく集会の女子高生は「先生から聞いたが、指2本が切れればどちらか1本しかくっつけられない」「盲腸の手術費がなければみんな死ぬのか」と絶叫する。インターネットでは民主労働党の「韓米FTA12種類の完璧整理」が広まっている。これに関し国際通商法専門家らは「牛を原料にした化粧品を使っただけでもBSEに感染するというのと同じ論理。全く可能性がない話を仮定を繰り返しながら作った怪談」と口をそろえる。当然、政治指導者は大衆と常に一定の距離を維持しなければならない。偽りを捨てて真実を追わなければならない。それでもろうそく集会に埋もれて「韓米FTAですべてを米国資本に明け渡すことになる」とし「今回の闘争は売国か愛国かの戦い」と主張する野党指導者に絶望感を感じる。「ここに集まったろうそくの火、総選挙・大統領選挙まで行こう」という扇動には戦慄を感じざるをえない。偽りと扇動で動かせると、私たちの社会を見ているのか。BSE事態の後、BSEに感染した人はいるのか。嘘で幼い学生の背中を押して何を狙っているのか。私たちは社会構成員の絶対多数が常識的に判断すると信じている。



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