実は記者は今年、高銀氏の受賞可能性がいつより高いと思っていた。韓国も必ずノーベル文学賞受賞者を輩出しなければならないという愛国心からでもなく、詩人の文学世界に根っから心酔していたからでもない。まず高銀氏が有力だと取り上げて論ぜられることはなかった。例外もあるが、受賞者を決めるスウェーデアカデミーは、たいてい意外な選択で虚を突いきた。アカデミーのペーテル・エングルンドの発言は、人々をさらに迷わせた。「最近、受賞した10人のうち7人が欧州出身ということで偏りが深刻なので、非欧州言語圏の専門家を動員して才能ある作家を探している」「今まで英語圏から最も多くの受賞者が輩出された」「中東の民主化や日本大震災などの大きい事件は、受賞者選びに影響を及ぼさないだろう」。それなら何なのだ。米国も欧州でもないとは。昨年は南米から選ばれたのだから、残るはアジアとアフリカではないか。その上、詩人は1996年以降、受賞者がいない。アラブ民主化も影響を及ぼさないというのだから、有力な候補に挙げられるシリアの詩人アドニスさえ除外したのではなかったか。
言わなくてもよい言葉で推測と混乱を大きく招いた点を意識してなのか、エングルンドは受賞者発表直後のインタビューで、今年の候補選びの正当性を努めて強調するような印象だった。インタビュアーによる2つ目の質問は「スウェーデンアカデミーが、スウェーデンの作家に賞を与えました。外国で論議が起こらないでしょうか」だった。エングルンドの回答が傑作だ。「そうですね、たぶん。しかしスウェーデンの作家が最後にノーベル賞を受賞したのが、間もなく40年になろうという点をお分かりいただかなくてはなりません…スウェーデンの作家に、1年かけて賞をむやみに与えるているのではないのです」
言わなくてもよい言葉で推測と混乱を大きく招いた点を意識してなのか、エングルンドは受賞者発表直後のインタビューで、今年の候補選びの正当性を努めて強調するような印象だった。インタビュアーによる2つ目の質問は「スウェーデンアカデミーが、スウェーデンの作家に賞を与えました。外国で論議が起こらないでしょうか」だった。エングルンドの回答が傑作だ。「そうですね、たぶん。しかしスウェーデンの作家が最後にノーベル賞を受賞したのが、間もなく40年になろうという点をお分かりいただかなくてはなりません…スウェーデンの作家に、1年かけて賞をむやみに与えるているのではないのです」
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