世界トップ企業のアップルとグーグル、マイクロソフト（ＭＳ）には見えない共通分母がある。 経済が最も厳しかった時期に果敢にベンチャーとして立ち上がったという点だ。 ビル・ゲイツがＭＳを創業し、スティーブ・ジョブズがアップルを設立した１９７５－７６年は、オイルショックで深刻なインフレが起きた。 利率が２０％に達するほど崩壊直前だった。 誰もが投資を減らして委縮する間、彼らは個人用コンピューターと基本ソフト（ＯＳ）という新武器を持ち出して世界を変えた。 グーグルも同じだ。 ＩＴ（情報技術）バブルが崩壊し始めた９８年、それもヤフーをはじめとする先発走者が支配した検索広告市場に参入して大成功した。

中央日報創刊４６周年企画記事「青年創業、失敗を許そう」を読むと、何とも言えない気持ちになる。 ビル・ゲイツが「絶対に死蔵させるな」と絶賛したソフトウェアはこの地のやせた土壌に埋もれてしまった。 大企業に顔を背けられ、工場一つ建てるのに必要な７０件の書類作成で崩れたのだ。 絶対に失敗を容認しない点も問題だ。 数多くのベンチャーが融資を受けようと動き回り、わずか一度の失敗で７年間も塾の講師として転々としている人も多い。 これだからこの地には医師、公務員、大企業正社員になるためにスペックばかり築いていく‘草食青年’があふれている。

ベンチャー生態系の荒廃化で私たちが支払った機会費用は非常に多い。 セロム技術が最初に開発したインターネット電話は米国のスカイプ（Ｓｋｙｐｅ）に押し出された。 アイラブスクールとサイワールドが初めて見せたソーシャルネットワークサービス（ＳＮＳ）も後発走者の米国のフェイスブックとツイッターのために埋もれた。 「創業－投資－成長－合併・買収（Ｍ＆Ａ）－再創業」の螺旋階段で少しでも足を踏み外すと地獄に落ちる殺伐とした国内環境のためだ。 このため甘い果実を独占するのはいつも一歩遅れて飛び込んだ米国企業だ。


金大中（キム・デジュン）政権当時のベンチャーブームは非常に騒がしかったが、今はあまりにも静かだ。 今からでも規制を緩和し、政策的に青年創業を後押しする必要がある。 過去３０余年間、国内５０大企業は大企業とその系列会社の独壇場であり、米国のアップル・ＭＳ・グーグルのように当代の財界地図を揺るがした例はほとんど見られない。 ニューフェースベンチャーが次々と出て来てこそ、産業の森も多様になり豊かになる。 韓国社会の慢性病である青年失業の解決も、大企業の腕をねじるだけでは限界がある。 青年創業が唯一の突破口だ。

米国が経済危機の中で底力を発揮できるのは、絶えず育つベンチャーのおかげだ。 製造業が崩壊しても青年創業がその空白を埋めて新しい芽を出す。 アップル・グーグル・ＭＳがなかったとすれば、今の米国経済はどれほどみすぼらしいものになっていただろうか。 韓国青年は創意性がないという指摘には同意しがたい。 挫折はしたが、米国よりも先にこの地のベンチャーが開発した数多くの傑作品がその証拠だ。 今後の私たちに必要なものは「失敗も資産」という認識だ。 青年創業を激励し、失敗しても再度挑戦できるように敗者復活戦のネットを設ける必要がある。 多くの若者が創業に挑戦し、多くのベンチャー成功神話が出て来てこそ、韓国経済の好循環が期待できる。