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【社説】世界が借金に苦しんでいるのにまた無償政策なのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
米国の格付けが一段階引き下げられ世界の金融市場がふらついている。南欧の財政危機当時、世界は「一部地域の問題」と把握した。ところが米国の事態は南欧のような債務償還危機ではないのに世界は何倍もの衝撃を感じている。世界はいま、「国の借金」がどれだけ恐ろしいのかをまざまざと目撃している。

こうした問題が起きれば国はすでに計画された支出も点検するなど財政に対する総体的な引き締めに出なければならない。ところが米国の格付け引き下げ翌日の日曜日、ハンナラ党の黄祐呂(ファン・ウヨ)院内代表は自身の就任100日として記者懇談会を行い、新たに「0~4歳無償保育」を提案した。黄院内代表は、無償保育は義務教育概念の一環で、少子化を解消するための対策であり、ひとまず0歳から始める場合には1年に1兆ウォン程度でできるという論理を展開した。彼の提案はさまざまな面で問題が多い。

まず国民に、福祉に関する誤った認識を持たせかねない。教育と保育は違うものだ。野党は全面的無償給食を主張しながら給食も義務教育に含める誤った論理を展開している。ところが政権与党の院内代表がこれを正すどころかそそのかしている。いまハンナラ党は党レベルで呉世勲(オ・セフン)ソウル市長の無償給食調停案住民投票を支援するという方針だ。そのような時に党の院内代表が新たな「無償」を持ち出し国民と党員に混乱を与えている。野党は「無償保育はできるのに無償給食はなぜできないのか」と攻勢をかけている。


自身の提案を発表する方法も体系がない。院内代表は立法や政策をめぐる党内または党と政府の間の意見を調整して与野党交渉を主導する職責だ。意見を調整して取りまとめなければならない人がいきなり自身の意見を出して党内研究所に研究させるという。これは非常に無責任だ。黄院内代表は院内代表に当選するや政府与党協議もなく大学授業料半額問題を持ち出した。この問題はいまでも政府与党間、与野党間で方向性が固まらず国民を混乱に陥れている。

福祉予算は一度決まれば毎年支出しなければならない「永遠の支出」だ。4大河川開発や世宗(セジョン)市、国際科学ビジネスベルトのような単発性の事業ではない。そのため当初は金額が小さく見えても長期的には財政に大きな負担となる。したがってこうした問題は慎重に慎重を重ねて決定しなければならない。さらに世界に「借金台風」が吹いている時にはより一層注意深く扱われなければならない。国政指導部の一員にすぎない人が自身の「就任100日祝宴」で軽く出すばらまき公約になってはいけない。

日本の民主党は2009年の選挙で庶民のためだとして子ども1人当たり月2万6000円の手当てを中学校まで支給するという公約を出した。ところが財政状況から見ると守ることのできない公約となり、最近執行部が頭を下げ謝った。来年の選挙を控えているからと世界が苦しんでいるばらまき公約の前轍を踏むのだろうか。



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