欧州3カ国を歴訪中の李明博(イ・ミョンバク)大統領が来年3月、ソウルで開かれる第2回核安全保障サミットに北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長を招待すると公式提案した。北朝鮮が確実に核を放棄することを国際社会と合意する、という前提条件が付いている。南北非核化交渉-朝米対話-6カ国協議の順に枠が決まった6カ国協議再開プロセスの履行を控え、北朝鮮の非核化を推進しようという李大統領の政治的意志が込められていることがまず分かる。しかしこの提案が現実化するには越えなければならない山が多いだけに、実現の可能性が疑問視されるのは事実だ。モチを作る前からモチを配ることを考えている格好だ。
北朝鮮が李大統領の提案を真摯に受け入れて、誠意を持って非核化交渉に応じればよいが、その可能性は低いだろう。リビアの事態を見ながら、北朝鮮は体制安全を支えるのは核兵器しかないという考えをさらに固めた可能性が高い。したがって北朝鮮が6カ国協議に出てきたとしても、対話を通した譲歩の獲得が目的で、真摯に交渉に臨むことを期待するのは難しい。言葉ではなく行動で北朝鮮が核放棄の誠意を見せるまで対話はできないという李明博政権の原則論的な立場はこうした点で十分に理解できる。
しかも南北間には天安(チョンアン)艦と延坪島(ヨンピョンド)の問題がある。武力挑発行為を謝罪するまでは北朝鮮の対話要求に応じるべきでないと考える国民も多い。核サミット招待に関し、李大統領が北朝鮮の謝罪を「誠意を担保とする最小限の基準」と釘を刺したのは、こうした世論を意識した結果だろう。しかし天安艦の爆沈とは関係がなく、延坪島砲撃に対してはすでに遺憾を表したと主張する北朝鮮が謝罪する可能性はほとんどないと見るのが現実的だ。北朝鮮の謝罪を前提とする李大統領の核サミット招待提案がむなしく聞こえる理由だ。
対北朝鮮政策で原則を重視する李大統領の姿勢は評価するに値する。しかし天安艦と延坪島問題が足かせとなって6カ国協議を再開できなければそれは問題だ。北朝鮮が核を放棄する可能性はないとして手放しにすることはできない。今この瞬間にも北朝鮮の武器庫には核がずっと積まれていく。北朝鮮の核は南北間の問題であり、国際社会の問題だ。尻尾が胴体を揺らす現状況に対する国際社会の忍耐にも限界が予想される。それだけに天安艦と延坪島の問題を北朝鮮の核問題と分離し、別に対応する必要がある。すなわち「ツートラックアプローチ」だ。
南北首席代表会談を通して6カ国協議再開プロセスに始動をかけ、同時に南北政府または軍当局者会談を通して延坪島と天安艦問題を扱うようにするのだ。南北非核化交渉で北朝鮮が誠意を見せないと判断されれば、6カ国協議のプロセスを中断すればよい。また北朝鮮が南北当局間会談に応じなかったり、応じても武力挑発について謝罪しなければ、現在の対北朝鮮政策基調をそのまま維持すればよい。刀を握っているのは私たちだ。私たちが主導的に対話を導けない理由はない。
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しかも南北間には天安(チョンアン)艦と延坪島(ヨンピョンド)の問題がある。武力挑発行為を謝罪するまでは北朝鮮の対話要求に応じるべきでないと考える国民も多い。核サミット招待に関し、李大統領が北朝鮮の謝罪を「誠意を担保とする最小限の基準」と釘を刺したのは、こうした世論を意識した結果だろう。しかし天安艦の爆沈とは関係がなく、延坪島砲撃に対してはすでに遺憾を表したと主張する北朝鮮が謝罪する可能性はほとんどないと見るのが現実的だ。北朝鮮の謝罪を前提とする李大統領の核サミット招待提案がむなしく聞こえる理由だ。
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