経済学原論の授業で学生たちが高い集中力とともに多様な表情を示す時がある。貿易の利益について習う時だ。２つの国が貿易をすることで、貿易以前に比べると同じ資源を投じてさらに多くの消費ができるようになるということをグラフと数字を通じて見せると目を見張る。その魔法の秘訣が、各自が安く生産できるものに専門化して生産を増やした後に分配することだと説明すれば首を縦に振る。そして貿易は国内のすべてに同時に得になりはせず、輸入で一部国内供給者が被害を受けることもあるという時は表情が微妙になる。しかし貿易の得が失より大きいため全体的には利益だとグラフを通じて見せてやればまたうなずく表情に戻る。

貿易に対する韓国社会の現実の態度は学校と同じようで違う。頭では貿易の利益を理解して受け入れる。しかし輸入により被害を受ける階層ができるということに対し心情的に落ち着かないようだ。

現実が学校と違う点は得と失の冷静な比較ができないという点だ。被害に対する不満の声は増幅され実際より誇張されて現れるが、利益は過小評価される。こうしたことがあるのは、被害は短期的にそして特定領域で集中的に現れるため簡単に眼に触れるのに対し、利益は長期にわたり、そして広く現れるのですぐには見えないためだ。


ここに油を注ぐのがわい曲された報道機関と政界だ。イデオロギー的に偏向した見方を持つ一部メディアは開放の得と失を公平に報道しない。得失の総合的な絵を描かず、被害の中でも特定の部分だけを例示して針小棒大に報じる。ここに一部国会議員が加勢する。彼らは客観性がない報道を持ち出し、政府がすべてを渡しているという方式で攻撃する。そしてメディアがこれをさらに報道する形で否定的世論を雪だるま式に転がす。その結果、開放が遅れたり開放されても不必要なコストが多くかかり、開放効果が落ちることになる。



韓国だけが高い関税を払って貿易する愚（２）

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