「モーリアックが正しかった」。天才作家と呼ばれたロベール・ブラジヤックが処刑された直後のカミュのこの声は、非理性的集団意識の暴力性に抵抗する良心宣言だった。 ナチス協力者の清算過程でカミュは2度の不条理状況に抵抗したことになる。 最初は「私が正しい」という正義の良心で、後には「私が間違った」という苦悩を帯びた寛容で。
是日也放声大哭の雷のような響きで民族の魂を呼び起こした張志淵(チャン・ジヨン)先生の独立有功者叙勲が晩年の親日行跡を理由に取り消された。 張志淵先生だけではない。 朝鮮学徒兵激励ポスターに数点の挿絵を描いた金基昶(キム・キチャン)先生、満州国創設記念音楽会の指揮台に立った安益泰(アン・イクテ)先生、親日雑誌に「異土」という詩を書いた鄭芝溶(チョン・ジヨン)、そして李光洙(イ・グァンス)先生、柳致環(ユ・チファン)先生、徐廷柱(ソ・ジョンジュ)先生など…。 極めて不幸だった時代の悲しい知識人が親日派の烙印を押されたまま地下に眠っている。 その過酷な時代を生きたことがない、正義を謳う子孫の手で。
しかし日警の手先でもなかったし、日帝の高位官職を享受したこともない彼らは、乙巳五賊や庚戌国賊のように積極的に民族を陵蔑した売国奴ではなかった。 名前を奪われて姓まで変えなければならなかった苦難の時期、常に民族精気を発することができない日常が、切迫した生活の現実が彼らを縛りつけていなかっただろうか。奪われた土地の多くの民草のように彼らも善悪・美醜がもつれてうごめく葛藤と矛盾だらけの実存を抱えて孤独に泣いていなかっただろうか。
君が代が響くナチスの表彰台に日章旗を胸に付けて上がった五輪マラソンチャンピオンを親日派と非難できないように、大きな幹ひとつを何とか守るために周りの枝をいくつか落とすしかなかった先人の悲痛な霊魂に、私はどうしても断罪の刀を突き刺すことはできない。 鄭芝溶先生の告白のように「親日も排日もできない」植民地民のやる瀬ない生を、全人格、全生涯で眺めず、断片的な行跡いくつかに分けて唾を吐くほど高潔な正義感が、それほど堂々とした道徳的自信が、私にはない。 その激しい歳月をただ一日も生きたことがない私には。
鄭芝溶先生の叙勲取消にもう一つの「是日也放声大哭」の悲しみがこみ上げる。 モーリアックの温かい人間愛、カミュの苦悩を帯びた寛容が惜しまれるこの正義の時代の悲しみ。
イ・ウグン法務法人チュンジョン代表
【中央時評】この時代の「是日也放声大哭」(1)
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イ・ウグン法務法人チュンジョン代表
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