電話やインターネット投票は特別な装置を備えない限り問題がある。投票の核心である公正性と代表性を担保できないからだ。このため、ただ娯楽として人気を表す用途に使われたりする。いま済州(チェジュ)道民をはじめとする多くの人が夢中になっている「世界7大自然奇観」選定イベントもこういうものだ。「新世界七不思議(New7Wonders)」というスイスのある民間団体が行っているが、電話とインターネットで世界の自然奇観7カ所を選ぶ行事だ。インターネット投票は一回だけ認められるが、電話と文字投票は無制限だ。ただ、国際通信なので費用はかかる。電話1回は180ウォン(約14円)、文字は150ウォンという。電話代さえあれば少数の人からでも限りなく票を受けられる構造だ。
主催側こうした問題はよく知っている。投票の信頼性をどう確保するかという質問に対し、そう深刻に考えるなという立場であるからだ。映画制作者兼探検家のベルナルド・ウェーバー氏が率いるこの団体は、07年7月、今と同じ方法で「世界新七不思議」を選定し、名前を知らせるのに成功した。その直後に始めたのが「世界7大自然奇観」選定作業だが、投票は今年11月11日に締め切られる。その間、2度の予選を経て現在、最終候補28カ所が競合している。済州のほか、ガラパゴス島(エクアドル)、グランドキャニオン(米国)、ハロン湾(ベトナム)、アマゾン(ブラジル)、死海(イスラエル)、モリジブ島(モリジブ)、キリマンジャロ(タンザニア)などだ。
済州の勝利のために昨年末、汎国民推進委員会が結成された。委員長は鄭雲燦(チョン・ウンチャン)前総理が務めている。鄭委員長は先月23日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)で金潤玉(キム・ユンオク)大統領夫人を名誉委員長に推戴する行事も開いた。金潤玉氏はこの日、携帯電話で済州に一票を入れた。李明博(イ・ミョンバク)大統領も一票を加えた。国会は支持決議案まで採択した。楽しんでする人気投票が韓国では「私たちの未来を決める」(鄭雲燦委員長)国家的事業になったのだ。
民間団体がしている行事に政府の要人が前面に出るのは少し違う。コ・ドゥシム、キム・テヒら芸能人が広報大使になっているが、この程度が適切だということだ。地方自治時代に済州道が乗り出すのも十分に分かる。しかし禹僅敏(ウ・グンミン)知事をはじめとするすべての公務員がこの投票に夢中になるのはやり過ぎだ。禹知事は「通信料は道庁が全額負担する」とし、公務員総動員令を出した状態だ。目的のために手段は問わない姿だ。「新世界七不思議」のホームページにはハングルのバナー広告が輝いている。韓国人の訪問がそれだけ多いということだ。この投票には全国組織を率いる農協と大韓商工会議所も参加している。投票者の中にはユネスコがこの行事を主管していると思い込んでいる人も多い。ユネスコは「関係ない」と明らかにしたにもかかわらずだ。
済州道はすでに世界で初めてユネスコから「トリプルクラウン(3冠王)」を受けている。2002年に生物圏保全地域、2007年に世界自然遺産、2010年には世界地質公園として認証された。世界に済州を知らせるのに不足がない材料だ。これを十分に広報することにより多くの力を注ぐのが良いのではないだろうか。
シム・サンボク論説委員
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済州道はすでに世界で初めてユネスコから「トリプルクラウン(3冠王)」を受けている。2002年に生物圏保全地域、2007年に世界自然遺産、2010年には世界地質公園として認証された。世界に済州を知らせるのに不足がない材料だ。これを十分に広報することにより多くの力を注ぐのが良いのではないだろうか。
シム・サンボク論説委員
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