韓国政治の根幹が余すところなく現れた。15日の国会外交通商統一委員会法案審査小委員会は韓国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)批准同意案を否決した。出席議員6人の意見さえまともに集めることができなかったこの日の会議は韓国政治の圧縮版だ。与野党が激突する現場には間違いなく民主労働党の姜基甲(カン・ギガプ)議員が登場する。彼は小委員会の委員ではないのに会議室に入り、委員長の腕をつかんで採決を阻止した。姜議員は韓服姿で“空中浮揚”する写真ですでに世界的有名人だ。認知度だけは誰も彼についてくることはできない。
最もあきれた場面はハンナラ党洪政旭(ホン・ジョンウク)議員の退場だ。彼は「EUとのFTAを支持するが、もみあいに参加しないために棄権した」と退場理由を説明した。洪議員は独自行動を懸念して小委員会委員職を退くよう求めるハンナラ党の要請を拒否したと伝えられた。それならあえて会議に参加して目立った行動を取った背景が気になる。もしかして来年の総選挙を念頭に置いた、イメージ管理のための利己的行動ではないのかと尋ねたい。どれほどのことあって野党院内代表まで「FTA採決を棄権した洪議員に敬意を表す」と言ったのだろうか。 EUとのFTA批准案は依然として外交通商委員会全体会議で扱う道が開かれている。だが、外交通商委員長の南景弼(ナム・ギョンピル)議員は、「物理力を動員した議事進行に参加するなら次の総選挙に出馬しない」と宣言した状態だ。野党が阻止を続けるならば、長い間苦労を重ねてきたEUとのFTA批准案がごみ箱に入れられる可能性もあるという意だ。南委員長と洪議員には、今後どのような国家重大事であってももみあいが起きれば手を引くのかと尋ねたい。それなら韓国の国会は姜基甲議員ひとりの独壇場になるほかはない。
政治家がイメージに気を遣うのは十分に理解できることだ。だが、有権者が究極的に要求するのはイメージではない。むしろ激しさだ。大衆の人気に迎合するより、懸案をめぐり強い意志と激しい討論を通じ最善の解決方法を求める政治家を見たがる。韓国の政治家のうち誰がEUとのFTA処理過程でそのような姿を見せたのか。国会はビューティーショップではない。ラッピングされたイメージで当選回数ばかり積み上げ、政治生命を延長しても決して次世代指導者にはなれない。
韓国国会のゆがんだ自画像はEUと比較するとより明確になる。27加盟国と利害関係が交錯する多くの業種を抱えているEUは、韓国よりも事情がはるかに複雑だ。そのようなEU議会が、2月に韓国とのFTA批准同意案を圧倒的な賛成で通過させた。その間多くの討論を通じ建設的な代案を引き出し、絶えずコンセンサスを広げたから可能だったのだ。これに比べ与党ハンナラ党は、党内の意見さえまともに統一させることができなかった。一部議員らは本音丸出しのポピュリズムに陥り、韓国経済に絶好の機会を蹴り飛ばしてしまった。これでは7月にFTAを発効させることにした国同士の約束を破り発効日をまた決めなおさなくてはならないというあきれたことが起きかねない。
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