経済はマイナス成長が問題ではない。 財政(赤字国債発行)・エネルギー需給(原発増設の中止と化石燃料の代替)・環境問題(原発地域の空洞化と炭素排出の増加)が足を引っ張っている。 悪循環だ。 長期沈滞の憂慮が出てくる。 さらに遠くに目を向ければ音のない危機がある。 人口問題だ。 少子化と高齢化だ。 3月11日の大地震は日本社会の高齢化を克明に表した。 年齢が確認された死亡者7935人(7日基準)の55%が65歳以上の高齢者だった。 日本は世界で初めて超高齢社会に入った国だ。 昨年基準で国民の平均年齢は45歳。 人口も減り始めた。 人口構成比はさらに大きな問題だ。 高齢者の比率が高まり、生産年齢人口が減っている。 50年前は10人以上の生産年齢人口が1人の高齢者を扶養した。 今では3人が1人の高齢者を扶養している。 2055年には1対1となる。 現役の減少は消費者・生産者・納税者の減少と同じだ。 高齢者は医療・福祉費を膨らませる。 国内総生産(GDP)を減らし、財政に圧力を加える国力衰退の人口構造だ。 若者が減れば社会も活力を失う。 第2次世界大戦敗戦直後(1947-49年)のベビーブーマー(団塊世代800万人)が戦後復興の牽引車だったのとは天地の差だ。 日本の危機意識の根底にはこういうものがあるのかもしれない。 日本は人口減少・高齢化の中で再建するのか。 世界は人口との戦争も見守っている。
韓国の人口問題も日本に劣らない。 昨年、女性1人が出産する子どもの数(合計特殊出生率)は1.15で、世界最低水準だ。 日本(1.37)よりも低い。 05年(1.08)に底を打ったが、その後も低空飛行を続けている。 2018年(4934万人)をピークに全体人口は減少傾向に転じる。 2050年には高齢者の比率が世界最高水準(38%)となる。 移民収容論や人口減少亡国論が出てきても十分でない統計だ。
にもかかわらず私たちの警戒心は薄い。 1990年代は「失われた10年」だった。 国民的キャンペーンがなかった。 人口問題を未来の問題として先延ばしにした。 そして福祉論争に巻き込まれた。 人口減少対策のない福祉政策は意味がない。 それは政治的な打算かもしれない。 大統領5年単任制の思考回路が作用しているのだ。 日本は1990年代に学界・政府が大騒ぎし、10年ぶりに合計特殊出生率の低下に歯止めがかかった。 私たちは使う言葉も「低出産」だ。 危機感がない。 対策も保健福祉部低出産高齢社会政策室長(1級)が関連部処対策を総括する。 人口の減少は財政・産業・教育・保育・雇用・国防・地方の総合対策を必要とする。 今からでも人口担当長官を新設し、官民が一緒に動き出さなければならない。 国の興亡盛衰が健康な人口構成比にかかる時代だ。 人口は国力だ。
呉栄煥(オ・ヨンファン)外交安保デスク
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