とくに私たち社会だけがいやらしいと恥じることはない。 1998年9月11日、米国はこれ以上だった。 議会の決議でビル・クリントン大統領とホワイトハウスのインターン職員モニカ・ルインスキーのスキャンダル全貌がインターネットに公開されたのだ。 445ページの特別検査報告書は赤面するような内容ばかりだった。 「愛」はわずか18回、「セックス」という単語が164回も登場する。 エロチック物どころか完全にポルノだった。 米国成人の12%の2000万人が同時にインターネットに接続し、これを読もうと大騒ぎになった。 米情報通信白書は「米国はこの時から本格的なインターネット時代に入った」と淡々と書いている。
ルインスキースキャンダルはその後が重要だ。 大きな反響を呼んだ。 クリントン大統領の空白を成人雑誌『ハスラー』のオーナー、ラリー・フリントが埋めた。 彼は「セックスに対する偽善を破る」として政界をかき回した。 政治家の不倫情報提供に100万ドルの賞金を掲げると、性マッカーシズム熱風が吹いた。 下院議長内定者が落馬し、数多くの大物政治家が掃き出された。リーダーシップが揺れながら多くの事件が起こった。 ロングタームキャピタルは1兆2000億ドルの損失を出して破産した。 米経済は第2次世界大戦後最も長い9年間の好況を終えて、情報技術(IT)バブルが崩壊し始めた。 ルインスキーは著書『モニカの真実』で50万ドルを稼いだ。
シン氏の本を通して私たちの社会の‘潜在的観淫症’は十分に確認された。 うまくやれば商業的な成功も保証される世の中だ。 今後似た亜流作があふれ出てきそうだ。 こうした兆しは女性月刊誌の広告を見るだけでも分かる。 かつては総合日刊紙と女性月刊誌が扱う領域が違った。 今は区別するのが難しい。 双方が同じくシン・ジョンア、上海H領事、ソウル大音大不倫教授を順に掲載している。 過度に愛があふれる私たちの社会がおかしな方向へ行く雰囲気だ。 このままだと米国のように足元の政治・経済土台までが流失しないだろうか。 度が過ぎるのは足りないのと変わらない。 さらにはこの文までが出版社のノイズマーケティングに巻き込まれたのではないかと心配になる。
李哲浩(イ・チョルホ)論説委員
【時視各角】愛が過度にあふれる社会(1)
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