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【コラム】マニュアル社会の罠(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
道路があっても、地方自治体が発行する緊急通行証がなく、救援物資と油を積んだトラックが数日間も足止めになるのも、マニュアル通りにして生じたことだという。福島原発事態の初期に海水で原子炉を冷却させるという考えに踏み切れなかったのもマニュアルになかったためだという。結局、菅直人首相の激しい叱責で海水を動員したが、マニュアルに縛られて貴重な時間を浪費する格好となった。

最近、日本政府の当局者らが口癖のようにいう言葉が「想定外」だ。これほどの地震と津波は全く予想できなかったということだ。したがってそれに相応する対応策がマニュアルにない。世の中のすべてのことがマニュアル通りにできると思うのは傲慢の極致だ。世の中には人間の予知から外れることがいくらでもある。人間の頭で天災地変まで治めることはできない。

マニュアルはもちろん必要だ。教育のためにも必要で、試行錯誤を繰り返さないためにも必要だ。マニュアルを遠ざけるのも問題だが、過度にマニュアルに依存するのも問題だ。マニュアルにすがるのは悪く言えば免避主義だ。予期できない事態にあい、自分の責任下で危険を甘受する負担から抜け出せる良い言い訳が「私はマニュアル通りにしただけ」という言葉だ。通常的な場合なら、マニュアル通りにすればよいが、危機状況では違う。大地震のような国家的危機状況でマニュアルにばかり依存するのは無責任な保身主義だ。結局は官僚主義の問題とリーダーシップの問題だ。


日本の中高年層は最近、日本の若者が覇気と挑戦精神を失ったと嘆く。しかし彼らをそのように作ったのは中高年層だ。中高年世代が作ったマニュアル社会の罠にはまり、若者が意欲と覇気を失っているのだ。世の中すべてのことがマニュアル通りに動けば、それほどつまらない世の中もないだろう。予想を超える事態に立ち向かい、リスクを背負って挑戦するのが価値ある人生であり、意味のある人生だ。

日本は敗戦から生まれ変わって先進国になり、経済大国になった。しかし20年前から日本は沈滞状態だ。大地震で日本がもう一度生まれ変わることを私は心から望む。そのためにはまず「マニュアル原理主義」から抜け出さなければならない。いま日本に必要なのは見識と直観を備えたリーダーの決断だ。

裵明福(ペ・ミョンボク)論説委員・巡回特派員



【コラム】マニュアル社会の罠(1)

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