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【噴水台】歴史と遊ぶ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
「1782年、老論勢力に対抗して王権強化のための戦いを繰り広げた正祖に、もう一つの事件が起こる。貢納不正によって国の経済の根幹である税金が蒸発し始めたのだ。腐敗官僚の背後を知るために正祖は最側近に秘密捜査を指示するが、彼に与えた正5品がまさに探る‘探’、正す‘正’、すなわちを正しいことを明らかにしろという意味の‘探正’だった」。最近、観客400万人を突破した映画「朝鮮名探偵」は『正祖秘史』という本で始まる。この本に関する情報を探した人たちはおそらく徒労になっただろう。『正祖秘史』と名探偵シャーロック・ホームズ誕生(1887年)よりも100年以上も前の探偵はすべて徹底した加工の産物であるからだ。

似たことが1987年の卜鉅一(ボク・コイル)の『碑銘を求めて』の発表後にもあった。この小説は「伊藤博文が安重根(アン・ジュングン)義士の暗殺計画で生き残り、韓半島植民統治が現在まで続く」という、一種の「代替歴史(alternative history)」だ。作家は各章に伊藤の自叙伝『北征』、ダグラス・ローレンスの『植民地』などの引用文を入れた。ほとんどが「偽物」だったが、リアルだったのか、書店でこの本を求める読者もいた。卜鉅一は『1984』 『動物農場』も「エリック・アーサー・ブレア」という作家名を使って混乱させた。エリック・アーサー・ブレアはジョージ・オーウェルの実名だ。

代替歴史やファクション(fiction)は最近、文化界の支配的なトレンドだ。事実(fact)と虚構(fiction)を行き来する。歴史を厳粛な過去の記録から見るのではなく、無限想像力を発揮して「面白くする」対象として認識する。考証にも敏感でない。「朝鮮名探偵」の名探偵(キム・ミョンミン)は年齢を尋ねる質問に「早い壬午年生まれ」と言い、「チチポン」という俗語も使う。イ・ジュンイク監督の「平壌城」は、新羅が表面上は羅唐連合を形成するが、後ろでこっそりと高句麗を助けるというように歴史を捻る。


こうした理由で歴史と‘遊ぶ’ことは歪曲是非から常に自由でない。これは「大衆の歴史消費が歴史学者の著書ではなく、テレビ史劇や映画を通した‘映像歴史’の時代」(キム・ギボン京畿大教授)による陣痛なのかもしれない。暗記中心で消費者に配慮しなかった従来の歴史教育に対する反作用かもしれないからだ。歴史を「見て聞いたことを記録すること」と定義した「歴史の父」ヘロドトスが知れば悲しむかもしれないが。



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