‘１１ｍルーレット’と呼ばれるＰＫ戦は理論的に言えばキッカーに有利だ。キッカーの足を離れたボールがゴールラインを通過するのにかかる時間は普通０．５秒。一方、ゴールキーパーが反応する速度は速くて０．６秒だ。したがって両目を閉じてゴールの隈に蹴れば必ずゴールとなる。

しかし実際のＰＫは理論と一致しない。あるドイツ紙が０６年７月１日、ドイツとアルゼンチンの独ワールドカップ（Ｗ杯）ＰＫ戦が終わった後に報道した内容によると、ＰＫ戦の成功確率は７７％だ。１００人のうち２３人は外す。

２６日（日本時間）にカタール・ドーハのアルガラファ競技場で行われた韓国－日本のアジアカップ準決勝戦。２－２で延長戦を終えた後のＰＫ戦で、韓国は１人目から３人連続で失敗した。一方、日本は１人目、２人目、４人目が決めた。０－３敗。韓国がＰＫ戦で零封を喫したのは初めてだ。５１年ぶりにアジアカップを取り戻すという韓国サッカーの夢が１１メートル前で断たれた。


◇リーダーの選択＝ＰＫ戦の順序は練習での成功の確率と選手の心理状態を考慮して監督が決める。趙広来（チョ・グァンレ）監督は日本との試合前日に順序を決めた。しかし試合前には選手たちに知らせなかった。延長戦を終えて戻ってきた選手たちに「具滋哲（ク・ジャチョル）が１番目、李容來（イ・ヨンレ）が２番目に蹴れ」という形で知らせた。

練習での確率と若手選手の覇気を信じた。趙監督が選んだ５人、具滋哲（２２）、李容來（２５）、洪正好（ホン・ジョンホ、２１）、孫弘敏（ソン・フンミン、１９）、奇誠庸（キ・ソンヨン、２１）はみんな若い選手だ。具滋哲と李容來のシュートは日本のＧＫ川島に阻まれ、洪正好は枠を外した。一方、日本のザッケローニ監督はエースの本田圭（２５）と岡崎（２５）、長友（２５）、今野（２８）らＡマッチ経験が豊富な選手を出した。趙監督は「練習ではうまくいっていたが、体力が落ちて選手たちがミスをしたようだ」と説明した。

０２韓日Ｗ杯当時、ヒディンク監督はスペインとの準々決勝のＰＫ戦で１人目のキッカーに黄善洪（ファン・ソンホン）、５人目に洪明甫（ホン・ミョンボ）を選んだ。ベテランを最初と最後に配置した。結果は成功だった。

０２年に「韓国スポーツ心理学会誌」で発表された「サッカーＰＫ戦で選手の心理的戦略分析」（パク・ヘヨン、ホン・ブンヒ）という論文によると、選手は１番目と５番目に負担を感じる。１人目は最も大きな関心を受けるキッカーであり、５人目は勝負を決定付ける順序になる可能性が高いからだ。

◇選手の重圧感＝ＰＫ戦で感じる選手の重圧感は非常に大きい。ＰＫ戦に強いＧＫ李雲在（イ・ウンジェ、３８、全南）は「ゴールキーパーは防げなくても仕方がないが、キッカーは必ず入れなければいけないというプレッシャーが大きい」と話した。

ＰＫ戦の時、キッカーは失敗に対する不安感、必ず決めなければいけないというプレッシャー、結果に対する恐れ、相手選手の得点による負担感などによってキックのリズムやバランスを維持するのが難しい。

ＰＫ戦で失敗した経験がある選手は除くのがよい。朴智星（パク・チソン、３０、マンＵ）もＰＫ戦には苦い記憶がある。朴智星は１９９８年、水原（スウォン）工業高校３年の時、江陵（カンヌン）で行われた大会の準々決勝でＰＫを外した。当時は全国大会４強に進出してこそ特技生として大学に進学することができた。朴智星は自分のために同僚が進学できなかったという責任感に苦しんだ。朴智星がＰＫ戦に出たのは０２年韓日Ｗ杯のスペイン戦が唯一だ。



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