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北朝鮮が今年1月1日付の労働新聞1面に、これまで労働新聞・朝鮮人民軍・青年前衛の3紙共同社説を掲載してきた慣例を破り、歌と楽譜を掲載したことが13日、明らかになった。金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の新年の言葉に該当する3紙共同社説は、金日成(キム・イルソン)主席が死亡した翌年の1995年から労働新聞1面全体に掲載されてきた。
中央日報が入手した1日付の労働新聞1面は、「遠い革命の道に--」で始まる「勝利の道」の楽譜と3番までの歌詞で満たされた。新年共同社説は2面全体に載せられた。内閣機関紙の民主朝鮮も共同社説を2面に配置し、1面に「信心高く進もう」の楽譜と歌詞を掲載した。
労働新聞に掲載された歌「勝利の道」は、90年代後半、北朝鮮が極度の経済難で餓死者が続出したいわゆる「苦難の行軍」時期に作られた。民心離反を防ぎ、北朝鮮式社会主義体制の下、住民を結束させるための宣伝扇動曲だ。歌詞に出ている「苦難の千里を行けば、幸福の万里がくる」という部分は、当時の北朝鮮状況がどれほど厳しかったかを物語っている。
金正日は00年、「今日はたとえつらくても、難関を切り開いて行けば必ず光る勝利が手に入り、より幸せな生活を創造できるという(歌の)思想が非常に素晴らしい」とこの歌を絶賛したことがある。この歌は当時の北朝鮮のスローガン「行く道が険しくても笑いながら行こう」「今日のための今日ではなく、明日のための今日を生きよう」と軌を一にする。
北朝鮮がこうした背景を持つ歌を労働新聞新年号の1面に掲載したことについては、さまざまな解釈が出てくる。まず北朝鮮が「強盛大国の扉を開く年」と規定した2012年と切り離せない。現在より状況がもっと厳しかった「苦難の行軍」を引き出して、住民の努力を動員しようという意図が見られる。
仁済(インジェ)大のチン・ヒグァン教授(統一学)は「金日成の誕生日100周年の来年、強盛大国を完成するために総力を注ごうという意志の表現」とし「住民が希望を持って経済建設に参加することを促すためのものだ」と分析した。国民大のチョン・チャンヒョン兼任教授(北朝鮮学)も「いくつもの言葉よりも一つの歌を通して、強盛大国の完成に向けて住民を動かそうというものだ」と話した。
2つ目は、金正日の三男・金正恩(キム・ジョンウン)労働党中央軍事委員長の後継構図と関係があるという分析だ。金正日の健康が良くない状況で後継者の定着は北朝鮮にとって最優先課題だ。
北朝鮮指導部は昨年9月、金正恩が後継者として公式化された後、「生活が良くなった」という点を浮き彫りにする必要がある。資本と技術が不足する北朝鮮で経済的な成果を出すには住民の努力しかない。今年の新年共同社説が昨年と同じように「軽工業の拍車と人民生活の向上」を旗印に掲げたのと同じ脈絡といえる。努力の動員は住民の結束と金正恩反対勢力粛清にも好材料となる。具体的な実績を根拠に新しい支配エリートを創出できる。労働新聞の変身は、金正恩が後継者に内定した後、変わった姿を見せるためだという指摘もある。
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