李明博(イ・ミョンバク)大統領がきのうの外交安保官庁の業務報告で注目される発言をした。統一部の業務報告で李大統領は、「南北間にいつも軍事的対立だけがあるのではない」として「国防力を強化して強い安保をしながらも、南北が対話を通じて平和を定着させる努力も一緒にしなければならない」と話した。外交通商部の業務報告では6カ国協議を通じた北朝鮮の核問題解決の切迫性を強調した。別の見方をすればあまりにも当然の話だ。それでも注目されるのは、わずか数日前までも北朝鮮に対する強硬発言を浴びせた李大統領がした話であるためだ。北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発以後、李大統領は「戦争を恐れてはいけない」「北朝鮮が攻撃すれば大反撃を加えなければならない」など、連日発言水準を高めてきた。だからこそ考えなしでした原論的言及というよりは、現在の韓半島と周辺情勢に対する客観的判断に基づいた計算された発言である可能性が大きいとみる。
特に6カ国協議と関連し、李大統領は、「北朝鮮の核問題も6カ国協議を通じて外交で解決するほかはない。南北が交渉を通じて北朝鮮が核を廃棄するのに韓国が重要な役割をしなければならない」と強調した。「北朝鮮は2012年の強盛大国を目標に置いているため、来年1年間で6カ国協議を通じて核廃棄を必ず成し遂げなければならない」という話もした。延坪島事件以後、政府は6カ国協議に強い拒否感を示してきた。中国の6カ国協議首席代表緊急会合提案を拒否し、韓日米協調を通じすべての北朝鮮の核開発計画の全面中断など6カ国協議再開に厳しい条件を掲げることもした。したがって李大統領のきのうの発言は6カ国協議に対する政府の立場を変えたと取られるのは事実だ。
安保のためには強い国防力とともに老練な外交力の支えがなければならない。北朝鮮の挑発威嚇に対抗して堅固な防衛態勢を維持することに劣らず、外交を通じて威嚇要因を除去する努力が絶対的に必要だ。先週延坪島射撃訓練が終わった後でわれわれは本欄を通じ「いまや外交が出る番だ」と主張したのもそうした背景だった。李大統領のきのうの発言をわれわれが肯定的に評価する理由だ。
韓半島の緊張状態をひたすら持続するのは南北の当事者はもちろん、周辺国すべてに役に立たない。隙のない警戒態勢で北朝鮮の追加挑発の可能性に備える一方、周辺国との外交的協力を通じて北朝鮮が追加挑発をできないように防がなければならない。北朝鮮がウラン濃縮を通じた核開発を公式化しただけに、北朝鮮の核問題解決もこれ以上先送りすることはできない緊急課題だ。来月19日に予定されている米中首脳会談を控えて米国と中国はすでにそのような方向に動いている。北京とモスクワはもちろん、ワシントンでも6カ国協議のためには南北対話が先行しなければならないという意見が出てきている。李大統領の対北朝鮮強硬策に対しワシントンの一部から懸念の声も聞こえる。日本も日朝対話再開の動きを見せている。こういう状況でわれわれだけが対北朝鮮圧迫に固執し周辺国に引きずられる立場にもなりかねない。圧迫と対話の絶妙な調和が必要な時点だ。
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