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【社説】ネットの流言飛語、放置することはできない

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
表現の自由は民主主義の礎石だ。憲法は言論・出版の自由と集会・結社の自由を規定してこれを保障する。それでも表現の自由が何の制約もなく勝手に表現できる自由を意味するものでは決してない。自分一人だけで生きる世の中ではない。共同体の利益のためには個人の自由がある程度制限されることもある。そのような意味できのうの憲法裁判所の決定は表現の自由に対する新たな宿題を社会に投げかけた。

憲法裁判所は“ミネルバ”パク・デソン氏逮捕の根拠条項となった電気通信基本法第47条1項を違憲と判断した。問題の条項はインターネットや携帯電話などで「公益を害する目的で公然と虚偽の通信をした者」を処罰できる規定だ。憲法裁判所は「“公益”の意味が不明確で抽象的なため判断が人により大きく変わりかねない」として、「あいまいで主観的な要件を動員してこれを禁止し処罰することにより規制してはならない表現まですべて一緒に規制することになる」と指摘した。

憲法裁判所は罪刑法定主義の「明確性原則」に反するという点を挙げ表現の自由に重さを与えた。法律は処罰する行為が何であり、それに対する刑罰がどんなものなのかを誰でも予想することができるよう明確に規定することを要求する。刑罰の内容があいまいならば何が禁止された行為なのか国民がわからなく、法を守りにくいためだ。憲法裁判所は「虚偽事実の表現も表現の自由の保護領域に属する」とし、「これを制限する時は細かく明確に規定しなければならない」と説明した。


事実、問題の条項は長らく死文化されており、インターネット掲示板と携帯電話文化が活性化した2000年代以後に適用され始めた。新しい情報通信媒体の飛躍的発達にともなう弊害が大きくなるのに関連法が不備だったという話だ。古い法を倉庫から取り出して「虚偽事実流布」というあいまいな容疑に適用してみたら事態が広がったわけだ。これからインターネット上で公然と広まる虚偽事実流布行為などを処罰できる法的手段が消えた。すぐに北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件後のデマ流布容疑で起訴された人々が司法処理を免れることになった。新しい処罰根拠ができるまではインターネットや携帯電話を通じて虚偽の書き込みを流布しても処罰されなくなり大混乱が予想される。

われわれは根拠がなかったりわい曲された出所不明の情報が広範囲に速やかに伝播することにより世論を誤誘導し個人の人権に致命的な打撃を与えるのを数えきれないほど目撃している。哨戒艦爆沈事件をはじめ、タブロの学歴偽造議論が代表的な事例だ。国民もインターネットの流言飛語がみずからの生命と社会安全に直接的な危険を与える可能性があるということに共感する。憲法でも国家安全保障・秩序維持・公共福利のために必要な時は表現の自由を法律で制限することができるようにしている(37条2項)。

ろ過されていない数多くの偽りの情報の中で玉石を分けるのは容易ではない。流言飛語に誘惑されず、わい曲された世論を防止するのは社会全体の責務だ。無責任な表現の自由を無制限に放任することはできない。



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