11月は韓国の貿易史に新たなページが開かれる月となった。特定国家を対象にした輸出額が史上初めて1000億ドルを超えたからだ。相手は中国。今年1-11月の対中国輸出は1057億8100万ドルと、年間基準1000億ドルを早くも突破した。修交18年間でなんと100倍に増えた。驚くペースだ。しかし業界もメディアも静かだった。むしろ対中国貿易依存度の深刻化を懸念する国策研究所の報告書が注目された。天安(チョンアン)艦沈没事件、延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件、違法操業取り締まりなどで生じた両国間の外交摩擦で「輸出1000億ドル突破」のニュースは入り込む余地がなかった。
杞憂ではない。韓国の全体輸出の4分の1が中国へ向かうからだ。香港を含めると30%を超える。いかなる理由であれ対中国輸出が急激に減少すれば、韓国経済は打撃を受けるしかない。「1000億ドル輸出のパラドックス(逆説)」だ。
両国間の貿易構造をのぞいて見よう。対中国輸出のうち相当部分は、現地進出企業(投資企業)が韓国本社から部品を輸入して発生する。「投資連動型」輸出だ。北京に進出した現代(ヒョンデ)自動車が核心部品を韓国から運ぶという具合だ。これは、高付加部品は韓国・日本・台湾などで製造し、中国はこれを組み立てて輸出(内需販売)するという東アジアの分業の断面だ。実際、韓国の対中国輸出の70-80%は中間材(部品・半製品)。韓国がこの分業構造の一つの軸をなし、それが輸出の増加として表れたのだ。
これを可能にした要因はただ一つ、技術だった。韓国企業の技術競争力が中国企業より高かったため、高付加部品を輸出することができた。しかし今後の状況は楽観できない。自国企業の技術力が高まり、中国が部品の輸入を減らしているからだ。当然、国内部品の輸出には赤信号となる。北京現代の場合、進出初期、部品の約60%を韓国から輸入していたが、現在は(エンジンを含む)90%以上を中国で自給しているという点がこれを示している。さらに中国は2002年に胡錦濤体制に入って以来推進してきた自主創新戦略の一環として、部品産業の育成に積極的に取り組んでいる。家電機械など一部の分野では韓国部品の輸出減少を懸念しなければならない状況だ。
中国経済が成長し、内需市場が膨らめば、韓国企業の対中国輸出もそれだけ増えると考えているなら、それは大きな錯覚だ。一歩進んだ技術(サービス)がなければ、中国市場は絵に書いた餅にすぎない。貿易依存度の深刻化ではなく「輸出商品の不在」が韓中貿易の問題に浮上する日がくるかもしれない。それが両国貿易構造の現実だ。中国の技術追撃、貿易での人民元決済、自由貿易協定(FTA)など急変している貿易環境に先制的に対応する必要がある。核心はやはり先を進む技術だ。確保し、守らなければならない。両国間の外交葛藤が経済的に波及しないように政府の葛藤管理も重要だ。それが「1000億ドル輸出パラドックス」を克服する道だ。
ハン・ウドク中国研究所次長
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