23日午前、中央高速道路洪川(ホンチョン)インターチェンジを抜け江原道横城(カンウォンド・フェンソン)に入った。横城は国内最高のブランド韓牛の産地だ。料金所を過ぎるとすぐ口蹄疫遮断のための車両消毒施設が現れた。車両両側から消毒液を浴びた。窓を明けるとむせかえるような消毒液の臭いが車内に入り込んだ。スマートフォンに速報が入った。口蹄疫疑いで申告があった原州(ウォンジュ)の韓牛農家が精密検査の結果、口蹄疫の陽性と確認されたというニュースだ。原州市と接して北側が横城郡だ。
この時までこの地域の牛は口蹄疫疑い例の申告はあったが感染事実は確認されていなかった。前日に口蹄疫疑い申告が入ってきたという横城鶴谷里(ハッコクリ)を訪れた。ある農家の牛27頭のうち1頭が口から泡を出し、舌の内側に水泡ができたという申告だ。郡庁関係者は、「農場主は原州に家があり横城の農家と行き来するが、その際に口蹄疫ウイルスがついてきたのではないかと心配になる」と話した。
村の入口に入るとすぐに白い防疫服を頭までかぶった郡庁職員が出入りを統制していた。 往復2車線道路を横切り車両防疫噴霧器を設置する作業が進行中だ。また両側に「立入禁止・口蹄疫防疫」という立看板3個が立てられている。消毒作業を支援する消防車がちょうど到着した。郡庁職員という男が車を止めた。「村の北側の農家に口蹄疫疑い申告が入ってきました。住民は村を出ることができず、外部の人も入れません」。
村の入口で30分ほどとどまった。20トンを越える超大型ダンプトラックが統制線を越え絶えず出入りした。郡庁職員らが携帯用噴霧器で車両に消毒液をまいた。車両を防がない理由を尋ねたところ、「村の内側に採石場がありトラックが行き来する。採石場と農家はかなり離れているから大丈夫だ」という返事が返ってきた。少し後で乗用車1台が村の入口に入ってきた。郡庁職員が車を防いだ。中年の男が窓を下ろし、「住民です。外に薬を買いに行ってきたところです」と答えた。郡庁職員は何も言わず乗用車を入れてあげた。「村の住民だというので仕方ないでしょう。まだ確診判定が出たわけでもなく、前で消毒をしているから構いません」。つじつまが合わない説明だ。 少し前の「村を出ることも、入ることもできない」という言葉はかすれている。
車を回して口蹄疫防疫状況室が用意された横城郡庁へ向かった。3階畜産課に用意された状況室は他の課から派遣された職員と取材記者らで騒がしかった。畜産課職員があちこちで鳴る電話を受けており記者が質問するひまはなかった。事務室の片隅に鶴谷里の口蹄疫疑い農家を中心にした同心円が描かれた地図がかけられていた。半径500メートルの線は発生地域、3キロメートルの線は危険地域、10キロメートルの線は警戒地域という表示だ。500メートルの中には疑い申告農家をはじめとする3農家に44頭の韓牛がいる。3キロメートル以内には1700頭、10キロメートル以内には2万3000頭の韓牛がいる。横城郡全体で2100世帯4万8000頭の韓牛がいるというから、口蹄疫疑い申告農家から半径10キロメートル以内に横城郡の韓牛全体のうち半分がいることになる。
チョ・ウヒョン畜産課長は、「そんなことがあってはらならないが、もし10キロメートル以内の韓牛を全部殺処分しなくてはならないとすると考えただけでもぞっとする。安東(アンドン)は今ゴーストタウンになったというから他人事でない」とため息をついた。彼は、「月曜日にすぐ北側の平昌(ピョンチャン)で口蹄疫疑い申告が入ってきてから横城郡が非常事態になった。その時から平昌につながる国道は全部統制し始めた」と話した。
郡庁を出て近隣馬山里(マサンリ)に入った。地方道19号線の左側貯水池の向こうに「横城畜産協同組合韓牛」と書いた赤い大型看板を掲げた畜舎が見えた。畜舎には黄金色の韓牛30頭が見えるだけで人跡は見つけるのが難しかった。進入路前面には生石灰がまかれていた。郡庁で教えてもらった番号に電話をかけた。農場主のキム・ドンウォンさんは、「畜舎の目の前に地方道が通っていて不安だ。私たちができることとは1日2回畜舎を消毒し入口に生石灰をまくのがすべて」と話した。彼は、「私たちも牛を殺せと言われればやむを得ず法に従うべきだ。口蹄疫がこちらまで広がらなければいいのだが」と訴えた。また向い側の村にも韓牛畜舎が3カ所あった。村はガランとしていた。住民たちは見つからず犬だけが吠えていた。村のあちこちには明るい灰色の生石灰がまかれていた。
横城郡を離れてソウル~春川(チュンチョン)間高速道路に乗った。会社から電話がかかってきた。「横城鶴谷2里の口蹄疫疑い申告で確定の判断が出た」。この日1日横城郡鶴谷1里の別の韓牛農家とユヒョン里の乳牛農家など横城郡だけで5カ所から口蹄疫の疑い申告が入ってきた。このうち鶴谷1里とユヒョン里が次の日に口蹄疫感染確定判断を受けた。22日からクリスマスまでに横城だけで237頭の韓牛と乳牛96頭、ヤギ6頭を殺処分した。
横城(フェンソン)の韓牛は全国ブランドパワー大会で4年連続1位を取り、1等級出現率87%で全国1位を記録している。横城韓牛だけで年間売り上げは800億ウォンに達し、関連事業まで合わせれば最大3000億ウォンに達するほど横城郡の代表的産業だ。 横城郡は毎年10月になると「横城韓牛祝祭」が開かれる。5日間の期間中に全国から50万人以上の人々が訪ねてくる。横城郡の人口4万5000人の11倍に達する規模だ。 祭りを通じて得られる経済的収益だけでも300億ウォンを越える。
広がる口蹄疫「種牛50頭を守れ」(1)
この時までこの地域の牛は口蹄疫疑い例の申告はあったが感染事実は確認されていなかった。前日に口蹄疫疑い申告が入ってきたという横城鶴谷里(ハッコクリ)を訪れた。ある農家の牛27頭のうち1頭が口から泡を出し、舌の内側に水泡ができたという申告だ。郡庁関係者は、「農場主は原州に家があり横城の農家と行き来するが、その際に口蹄疫ウイルスがついてきたのではないかと心配になる」と話した。
村の入口に入るとすぐに白い防疫服を頭までかぶった郡庁職員が出入りを統制していた。 往復2車線道路を横切り車両防疫噴霧器を設置する作業が進行中だ。また両側に「立入禁止・口蹄疫防疫」という立看板3個が立てられている。消毒作業を支援する消防車がちょうど到着した。郡庁職員という男が車を止めた。「村の北側の農家に口蹄疫疑い申告が入ってきました。住民は村を出ることができず、外部の人も入れません」。
村の入口で30分ほどとどまった。20トンを越える超大型ダンプトラックが統制線を越え絶えず出入りした。郡庁職員らが携帯用噴霧器で車両に消毒液をまいた。車両を防がない理由を尋ねたところ、「村の内側に採石場がありトラックが行き来する。採石場と農家はかなり離れているから大丈夫だ」という返事が返ってきた。少し後で乗用車1台が村の入口に入ってきた。郡庁職員が車を防いだ。中年の男が窓を下ろし、「住民です。外に薬を買いに行ってきたところです」と答えた。郡庁職員は何も言わず乗用車を入れてあげた。「村の住民だというので仕方ないでしょう。まだ確診判定が出たわけでもなく、前で消毒をしているから構いません」。つじつまが合わない説明だ。 少し前の「村を出ることも、入ることもできない」という言葉はかすれている。
車を回して口蹄疫防疫状況室が用意された横城郡庁へ向かった。3階畜産課に用意された状況室は他の課から派遣された職員と取材記者らで騒がしかった。畜産課職員があちこちで鳴る電話を受けており記者が質問するひまはなかった。事務室の片隅に鶴谷里の口蹄疫疑い農家を中心にした同心円が描かれた地図がかけられていた。半径500メートルの線は発生地域、3キロメートルの線は危険地域、10キロメートルの線は警戒地域という表示だ。500メートルの中には疑い申告農家をはじめとする3農家に44頭の韓牛がいる。3キロメートル以内には1700頭、10キロメートル以内には2万3000頭の韓牛がいる。横城郡全体で2100世帯4万8000頭の韓牛がいるというから、口蹄疫疑い申告農家から半径10キロメートル以内に横城郡の韓牛全体のうち半分がいることになる。
チョ・ウヒョン畜産課長は、「そんなことがあってはらならないが、もし10キロメートル以内の韓牛を全部殺処分しなくてはならないとすると考えただけでもぞっとする。安東(アンドン)は今ゴーストタウンになったというから他人事でない」とため息をついた。彼は、「月曜日にすぐ北側の平昌(ピョンチャン)で口蹄疫疑い申告が入ってきてから横城郡が非常事態になった。その時から平昌につながる国道は全部統制し始めた」と話した。
郡庁を出て近隣馬山里(マサンリ)に入った。地方道19号線の左側貯水池の向こうに「横城畜産協同組合韓牛」と書いた赤い大型看板を掲げた畜舎が見えた。畜舎には黄金色の韓牛30頭が見えるだけで人跡は見つけるのが難しかった。進入路前面には生石灰がまかれていた。郡庁で教えてもらった番号に電話をかけた。農場主のキム・ドンウォンさんは、「畜舎の目の前に地方道が通っていて不安だ。私たちができることとは1日2回畜舎を消毒し入口に生石灰をまくのがすべて」と話した。彼は、「私たちも牛を殺せと言われればやむを得ず法に従うべきだ。口蹄疫がこちらまで広がらなければいいのだが」と訴えた。また向い側の村にも韓牛畜舎が3カ所あった。村はガランとしていた。住民たちは見つからず犬だけが吠えていた。村のあちこちには明るい灰色の生石灰がまかれていた。
横城郡を離れてソウル~春川(チュンチョン)間高速道路に乗った。会社から電話がかかってきた。「横城鶴谷2里の口蹄疫疑い申告で確定の判断が出た」。この日1日横城郡鶴谷1里の別の韓牛農家とユヒョン里の乳牛農家など横城郡だけで5カ所から口蹄疫の疑い申告が入ってきた。このうち鶴谷1里とユヒョン里が次の日に口蹄疫感染確定判断を受けた。22日からクリスマスまでに横城だけで237頭の韓牛と乳牛96頭、ヤギ6頭を殺処分した。
横城(フェンソン)の韓牛は全国ブランドパワー大会で4年連続1位を取り、1等級出現率87%で全国1位を記録している。横城韓牛だけで年間売り上げは800億ウォンに達し、関連事業まで合わせれば最大3000億ウォンに達するほど横城郡の代表的産業だ。 横城郡は毎年10月になると「横城韓牛祝祭」が開かれる。5日間の期間中に全国から50万人以上の人々が訪ねてくる。横城郡の人口4万5000人の11倍に達する規模だ。 祭りを通じて得られる経済的収益だけでも300億ウォンを越える。
広がる口蹄疫「種牛50頭を守れ」(1)
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