まず金正日だ。北朝鮮軍最高司令官として指揮・統率責任を取らなければならない。金格植(キム・ギョクシク)第4軍団長は延坪島を攻撃した海岸砲部隊現場の責任者であるため、確実な起訴対象となる。金英徹(キム・ヨンチョル)偵察総局長は北朝鮮の秘密作戦の責任を負うため、天安艦事件関連の主要調査ターゲットになるだろう。
党軍事委副委員長の金正恩の場合、もう少し具体的な証拠があってこそ起訴が可能だ。しかし金正恩が延坪島攻撃に関与したという北朝鮮内部の証言があり、また今後その事実を正確に知る人物が脱北する可能性もあるため、金正恩も起訴対象になる可能性がある。
起訴と逮捕令状の発給までは数年以上がかかる。このため目の前の重要な問題は、ICCの調査が北朝鮮指導部に与える心理的衝撃だ。戦争犯罪者には控訴時効がないため、金正日と金正恩をはじめとする戦争責任者はいつ逮捕されるか分からないという不安の中で生涯を暮らさなければならない。
さらにこの調査は北朝鮮内部の住民にも波及力を大きく及ぼすだろう。ICCが金正日・金正恩を犯罪者と判定すれば、その事実がすぐ北朝鮮内部に広がることで、北朝鮮住民は金正日・金正恩を独裁者を越えて、犯罪者として認識することになる。
独裁者と犯罪者は根本的に差がある。韓国の朴正煕(パク・ジョンヒ)、シンガポールのリー・クアンユー(李光耀)、中国のトウ小平のように立派で尊敬を受ける独裁者はいるが、立派で尊敬を受ける犯罪者は成立しない。犯罪者は処罰を受けなければ未来がない。すなわち金正日と金正恩が犯罪者として烙印を押されることになれば、北朝鮮の住民とエリートの反体制の流れはさらに増幅するしかない。これは北朝鮮体制の終末を早めるだろう。
ICC調査は金正日よりも金正恩に大きな打撃になるはずだ。金正日はICC調査が行われる数年以内に死亡する可能性もある。しかし金正恩は首領になり独裁をする前に犯罪者として追われる人生を生きなければならない運命になってしまった。
昨年11、12月、筆者は2度にわたり、北朝鮮の反倫理犯罪の予備調査を促すためにオランダ・ハーグにあるICCを訪問した。ICC監獄も参観した。もしかすると、数年後、私たちは金正日親子の顔をその監獄の中で目撃することになるかもしれない。
ハ・テギョン「開かれた北韓放送」代表
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