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【社説】「統一が近いことを感じる」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
大統領の一言は非常に重みがある。一度発した言葉は国政の方向を左右するだけでなく、対内外的に重要なメッセージとして伝えられるからだ。したがって正確な情報と厳密な分析、国政ビジョンを込めて慎重に調整されなければならない。こうした点で「統一が近くに来ている」という李明博(イ・ミョンバク)大統領の発言に注目する。

李大統領は9日、マレーシアで行った同胞懇談会で「統一が近いことを感じる。より大きな経済力を持って統一に備えなければならない」と述べた。また「北朝鮮の住民はもう世界がどのように変わっているかを知っている。これは重大な変化であり、どこの誰も防ぐことはできない」と話した。特に「一日も早く平和的な統一をし、2300万人の北朝鮮住民も最小限の基本権と幸福権を持って暮らせるようにする責任がある」と付け加えた。

李大統領の発言は北朝鮮住民の不満が深刻で、民心離反状況が体制を脅かす水準に到達したことを暗示しているようだ。いわゆる住民の抵抗による北朝鮮の急変事態だ。この場合、私たちが北朝鮮住民の生活を保障できるように準備する必要があるということだ。3日の社会統合委員会で「国民の変化に逆らえるいかなる権力もない」と述べた李大統領の発言とも軌を一にする。


大統領がこの程度の刺激的な発言を相次いでする時は、明確に十分な情報と分析に基づいているものと信じる。しかし北朝鮮社会がベールに包まれているうえ、これまで目を引くような異常兆候もないため、国民としては戸惑うしかない。こうした北朝鮮急変事態論は今回が初めてではない。1990年代後半、金泳三(キム・ヨンサム)元大統領も北朝鮮崩壊論に言及していた。対北朝鮮関係がこう着した時点で、米国で流行した北朝鮮崩壊仮説に注目したのだ。しかし北朝鮮崩壊論を提起した米国学者らも北朝鮮体制の特殊性に対する認識を改めて静かに撤回し、金元大統領も方向を変えるしかなかった。

今回も一部の人々は、李大統領の発言が北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)砲撃に対する腹いせ、または北朝鮮を圧迫するための心理戦ではないかと疑っている。中国が北朝鮮制裁を無視したことで何もできなくなり、毒舌で国民の鬱憤をなだめているという分析だ。しかし慎重でなければならない大統領の発言がこのように出てきただけに、そうではないと信じたい。こうした感覚的な対応で国家政策の根幹を揺さぶることはできないからだ。

李大統領の発言が正確な情報と分析に基づいたものなら、もう少し明確な根拠を提示して国民に説明する必要がある。そうしてこそ政府の対北朝鮮政策に対する信頼が安定し、国政の混乱も減るだろう。もちろん具体的な対策も徹底的に用意しなければならない。6カ国協議を含む対北朝鮮政策はもちろん、対米・対中外交も根本的に変わる必要がある。政府はその間、北朝鮮の急変事態に備えたシナリオ別の対応方法を準備してきたというが、今一度これを確認してほしい。韓半島全体の地殻が揺れる状況であるからだ。



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