2001年の9・11テロから9日後、ブッシュ米大統領は上下院合同会議場に立った。国民の代表の前で国民向けに演説をした。ブッシュ大統領はアフガニスタンのタリバン政権に最後通告を伝えながら、「国際テロ組織の全滅が今回の戦争の目標だ」と宣言した。35分の演説の間30回の拍手がわきおこった。国が危機にさらされた時、大統領と国民が会う最初の場所は国会議事堂だ。敵に断固としたメッセージを伝達する場所としても議事堂が適当だ。議事堂は国が共同体の決意を誇示する代表的な空間であるためだ。9・11テロの時、米議事堂(the Capitol Hill)はその歴史的な役割をスマートにやり遂げた。
いま大韓民国は韓国戦争以来最大の安保危機を迎えている。北朝鮮は第3、第4の挑発を公言する。危険は9・11より大きいが、韓国の議事堂は団結どころか“分裂の殿堂”に転落してしまった。金正日(キム・ジョンイル)に向かって叫び石を投げなければならない議員が互いに向かって大声を張り上げ胸ぐらをつかんだ。国民は今年だけはこういう場面を見ないことを願った。安保非常事態であるためだ。しかしついに起きてしまった。叫びと占拠、衝突と破壊の中で来年度予算案が通過された。
今回の事態に対して野党側にまず責任を問わざるをえない。これまで野党は慣習的に暴力闘争を繰り広げた。メディア法や予算案の際の暴力は繰り返された。与野党協議が決裂すれば野党はまず常任委員会を物理的に占拠する。議長が職権上程しようとすれば本会議場を占拠する。与党が採決を強行する過程で暴力と衝突が発生する。今回も野党は国土海洋委員会を占拠した。4大河川事業関連の「親水区域活用特別法」を防ぐためだ。4大河川事業関連常任委員会では予算案審査を、予算決算委では予算案合意を拒否した。すでに半分以上進んでいる4大河川事業を放棄しろということだった。
過去に例のない安保危機状況で、国民は国会が今回だけは予算案通過法定期間(12月2日)を守ることを願った。期間を超えるとすぐにハンナラ党は通常国会閉会(12月9日)以前に予算案を通過させるとした。もちろん安保危機だからといって野党が法案・予算案審査を適当にしろというのではない。任務は忠実にし、方法は合法的でなければならない。しかし野党は例年よりさらに激しい暴力で対抗した。国会本会議場のガラス窓を破って乱入した。その後の結果は国民が見守った通りだ。そこには多数決も、“延坪島(ヨンピョンド)”もなかった。
大統領とハンナラ党は国会の安保危機ムードをさらに活性化するために賢明な努力を傾けるべきだった。大統領は疎通が多く不足している。談話を発表しただけで、記者会見も与野党党首会談もしなかった。国会で国民向け演説をすることは考えもしなかった。大統領と与党がそうした努力を見せたなら、野党は“自制の責任意識”をさらに感じただろう。 与党は恐らく、「安保状況が発生したので国民がわれわれ寄りになるだろう」と考えただろう。無能な与党、無道な野党だ。
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