酒をよく飲むのが美徳であることもある。 酒量がある席を得たり保持するのに有用な場合がそうだ。 北朝鮮の人も同じ民族なので酒飲みがかなりいるようだ。 南北首脳会談の北側警護員出身で韓国に亡命したホ・ヘイルが著書『北朝鮮瑶池鏡』で伝える逸話一つ。 「北朝鮮政府の隷下機関に‘酒飲み幹部’があった。 一度に人参酒8本(酒精40%、750ミリリットル)を飲む。 強い酒6リットルを飲んでも何ともなかった。 この幹部は酒に強いということでアフリカのある国に大使として派遣される。 斗酒猶辞せず型のその国の大統領が酒量を基準に各国大使を待遇するのを勘案した措置だった」。大使になった彼の一声は「党が望むならこの体が死ぬまで飲む」だったという。
昔、酒飲みの王に仕えた臣下は、かなりの酒を飲めなければまさに苦痛だったはずだ。 中国五代十国時代のビンの王・王延羲は、酒を大量に飲み、臣下らは一緒に飲むと手に負えなかった。 しかし泣き言を言ったり飲むのをやめた臣下は殺されたりもした。 朝鮮時代の太宗も宴会で自分より先に酔ってしまう者は官職を返すべきだと叱ったりした。 酒を飲めない臣下も酒杯を手にして耐えなければならなかったという。
昔から大飲の事例は数多い。 杜甫は唐の玄宗の時代、臣下の李勣の酒量を「あたかも大きな鯨が数百の河川水を飲み込むようだった」と表現した。 朝鮮時代の学者・鄭喆祚(チョン・チョルジョ)も見事な酒豪だった。 貧しかった彼は焼酎を得れば、マッコリ(濁酒)を買って一つに混ぜ、大きな磁器を酒杯にして飲んだという。 その酒を混沌酒と呼んだが、今で言うと爆弾酒だ。
しかし酒は酒量を知って飲むのが重要だ。 伝統成年式で酒を注ぐ儀式の教えもそうだ。 「酒は香りがいいが、飲み過ぎると体を壊すことになるため、常に自分の体に合わせて適当に飲まなければいけない」という注文に、「生涯銘記する」と誓約し、酒を口にすることだ。
最近、中国インターネットでは飲酒面接後、道に倒れた大学生の写真が話題だ。 重慶のある企業営業社員の面接試験で酒量テストを受け、飲み過ぎて気を失ったのだ。 韓国企業も志願者の人性・自己管理能力・潜在力量を見ることができるとして、飲酒面接を増やす傾向だ。 酒に弱い求職者には飲酒面接が恐怖の対象であるだろう。 まさに同病相憐れむだ。
金南中(キム・ナムジュン)論説委員
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