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【社説】朝鮮王朝儀軌返還から国力を考える

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
外国に強奪された文化財を通じて私たちは歴史を読む。朝鮮王室儀軌は日本の略奪をただ見つめるしかなかった国権を失った国のわびしい境遇を語り、外圭章閣(ウェギュジャンガク)図書はフランス海軍の艦砲の前にひざまずかなければならなかった弱小国の悲哀を説明する。自分たちのものを自ら守る力がなく無惨にやられなければならなかった過去の痛い痕跡だ。朝鮮王室儀軌の搬出と返還過程は国際社会に働く力の論理を新たに考えさせる。

一昨日、韓日政府は韓半島から日本に搬出された図書1205冊を韓国に戻すことで合意した。朝鮮時代の国の主要行事を文と絵で記録した朝鮮王朝儀軌167冊、大典会通1冊、増補文献備考99冊、奎章閣図書938冊など返還目録の内容や規模でもひとまず肯定的に評価できそうだ。「朝鮮総督府を通じて搬出された韓半島由来の図書を返還する」という菅直人首相の約束が3カ月ぶりに実現した点で日本の真の姿勢も汲むに値する。

返還図書は植民地時代に搬出されたという歴史的意味が込められている。特に朝鮮王朝儀軌は1922年に「朝鮮総督府寄贈印」という印鑑が押され日本に渡っていった。言葉だけは寄贈だが、強奪されてもなすすべがなかったのが当時の朝鮮の時代状況だった。文化財庁によれば2010年8月現在、世界20カ国412カ所の博物館・美術館・図書館および個人が11万6896点の韓国文化財を所蔵している。日本の6万1409点、米国の2万8297点をはじめ、中国・英国・ロシア・ドイツ・フランスなどに散らばっている。


フランス国立図書館に保管された外圭章閣(ウェギュジャンガク)図書が強奪の代表的な事例だ。1866年の丙寅洋擾の時に略奪したもので、144年にわたり帰還を果たせずにいるものだ。297冊のうち戻ってきたのは1993年にミッテラン仏大統領が持ってきた1冊がすべてだ。「貸与」か「賃貸」かと言いながら返還形式をめぐり17年も引き延ばされてきた。主要20カ国(G20)首脳会議の際に返還される可能性があるとしてもフランス側の処分に全面的に頼るほかはないのが実情だ。

朝鮮王室儀軌は「返還」ではなく「引き渡し」という表現で譲り渡される。返還は略奪文化財を主人に戻すという意味で、日本が努めて避けようとした姿勢が歴然としている。文化財略奪国は弱小国の文化財を“普遍主義”という論理で正当化する。長い歳月が流れたので“帰化文化財”とみるべきだという詭弁を並べたてる。

今回の返還は韓国海外戦跡調査研究会・朝鮮皇室儀軌還収委員会など民間団体の隠れた努力のおかげだ。政府も民間団体を側面支援しながら略奪文化財還収を積極的に支援すべきだ。エジプト・インド・メキシコなど略奪された文化財が多い国々と国際的協力をするのは望ましいことだ。

文化財は民族の魂が込められた遺産だという。われわれの魂を奪われるのは一瞬だが、取り戻してくるには長い時間と厳しい努力が必要だ。今回の図書返還は文化財を奪われる悲しみの歴史が繰り返されないようわれわれの力を育てることが重要だという教訓を投げかけている。



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