２００８年北京オリンピック（五輪）は旭日昇天する中国のソフトパワーを世界に誇示した成功的なイベントだった。五輪開催地という自負心から国民が喜んで協力したのが大きな要因だった。通訳および応援支援など各分野のボランティアメンバーが１５０万人に達した点を見ても分かる。

特に北京市民は五輪成功の最大の障害だった大気汚染を解決するため、強制的な「自動車の奇数偶数制」も受け入れなければならなかった。人工降雨や工場稼働の中断など各種妙策とともに、自動車の「奇数偶数制」が施行されたことで、当初の憂慮とは違い、大きな問題なく五輪を開催することができた。国家の長期的な利益のために、一人ひとりが短期的な不便を我慢したおかげだ。

韓国も１９８８年ソウル五輪当時、交通疎通を円滑にするために自動車の奇数偶数制を実施した。２０年後の２００８年には原油高対策の一環として公共機関車に奇数偶数制を導入したりもした。しかし誰もが必要性に共感しながらも、生業に支障が生じるなどの理由で反発が大きかったのも事実だ。偽物のナンバープレートを付けたり、予備車両を追加で購入するなどの副作用も少なくなかった。


政府が１１－１２日にソウルで開催される主要２０カ国・地域（Ｇ２０）首脳会議期間中は「自家用車の運行を自制してほしい」と呼びかけ、強制ではなく自律的な奇数偶数制を選んだのは、こうした逆効果を考慮したためだろう。Ｇ２０会議で韓国を訪れる外賓は参加国首脳と随行員、取材陣を含めて１万人以上になる。外賓を不便なくもてなして会議を成功させた場合、国家ブランドの向上で３１兆ウォン（約２兆３０００億円）以上の経済的効果が出るというのが、韓国貿易協会の推測だ。

新興経済国、非西側国家では初めてＧ２０議長国を務めるため、国際社会の関心もいつよりも大きい。Ｇ２０会議の成功は間違いなく国民全員の利益になるだけに、各自が奇数偶数制の不便を快く受け入れる市民精神を発揮することを望む。五輪のように数週間もかかるものでもない。私たちに必要なのはわずか一日の忍耐心だ。政府も国民の参加を誘導できるよう、時間帯別の大衆交通無料搭乗などの代案を講じる必要がある。