朝鮮時代王たちも出産奨励に力を尽くした。伝染病が一度広がれば人口3分の1が決まって減ったからだ。双子3組以上生めば米と豆10俵を下した。当時、米10俵なら棚田2千坪分の値段だ。「出産祝い金」としてはスケールが大きかった。
「明宗実録」は江原道原州(カンウォンド・ウォンジュ)で3人の双子、慶尚道梁山(キョンサンド・ヤンジュ)では4組の双子が生まれた慶事を伝える。凶年が数年続き、戸曹が米一袋分下げようという建議をした。しかし明宗は「国庫が今すぐ底をつくわけではないではないか」と、どなったという。人口拡充の意志がそれほど強かったのだ(チャン・ハックン「私たちの知らなかった朝鮮」)。
春秋時代、越の国を敗者にした名宰相范レイ。彼が国の税を増やした秘訣の1つも出産促進策だった。婚期を逃した娘や息子が結婚をしなければ親を罰した。年の差のある婚姻は出産に役に立たないと禁じ、やもめ、男やもめの再婚をあおった。しかし後日、巨商に変身するほど、経済感覚があった范レイは知っていた、これら政策のジレンマを。働き口なしに人口ばかり増えれば災いになることをだ。彼が農業と養蚕にこだわったのもそのためだ。
こんな理が分からずに痛い目に会ったのがルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスクだった。「人口=国力」として、執権後、堕胎と避妊を全面禁止した。重ねて妊娠に失敗した女性には税金も払わせた。1年で出産率が2倍に増えた。しかしこうして誕生した「チャウシェスクの子供たち」が遭遇したのは食糧配給さえ大変な疲弊した経済だった。20数年後、これらがチャウシェスクを追い出すデモの主役となったのは驚くべきことではない。
最近、フランス年金改革反対のデモに青年層が先頭に立つのもあたりまえになった。定年を遅らせれば自分たちの働き口がもっと減るというのだ。20%を上回る失業率で苦しむ「不安な世代」(Generation Precaire)の悲鳴だ。問題は10年後だ。破格的出産支援で90年代の後半以降「第2のベビーブーム」を謳歌中のフランスだ。果たしてその多くの子供たちに生き甲斐を用意してあげられることができるか懸念も大きい。
フランスの話が他人事のようでなければ、心配のしすぎだろうか。少子化対策も急だが、未来の働き口を用意することも忘れてはいけないようだ。後に「働き口もない国にどうして生んだのか」と子供たちが街頭に立つ姿を見ないためには…。
シン・イェリ論説委員
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