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【噴水台】信じる理由

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

写真:中央日報日本語版



人を信じることほどあてにならないものがあるか。心の向く人はただ無鉄砲に信じてしまうものだ。楊貴妃と安禄山を無限に信頼する玄宗がそうだった。明白な不倫の証拠の前でも2人に対する愛が目と耳を覆った。ある日の夜、酒を飲んで楊貴妃の服が下がり、胸があらわになるとと玄宗が撫でながら言った。「軟らかくて温かなのがまるで肉鶏のようだ」するとそばにいた安禄山が反論した。「なめらかなのは、まるで練乳がかたまったもののようです」直接触ってみなければ絶対言えない言葉ではないか。しかし玄宗はものともせずに笑った。「やはり野蛮族の出身らしいね。練乳しか知らないなんて」(蕭春雷『欲望と知恵の文化辞典・体」)

ローマの5賢帝の1人であるマルクス・アウレリウスも愛する妻を無条件に信じた純情派とされた。美しい皇后ファウスティナが多くの男と浮気して歩くのを全国で知らない人がいないくらいなのに、決して疑わなかった。むしろ皇后の恋人たちに高位官職を下賜した上に30年にわたった結婚生活始終、揺らぎない愛情を示した。その有名な彼の「瞑想録」(自省録)にも貞淑な伴侶をくださった神々に感謝すると書いたほどだ。皇后が世を去った後には元老院に懇請し、女神として神殿にまつるまでした。


皆、相手を信じられたから信じたのではなく、信じたいから信じてしまったのだ。このように愚かな人の心をバートランド・ラッセルは鋭く看破した。「人間は軽率な信念の動物だ。信念に対する土台がなくても一応信じて満足する。そうして信念によって動こうとする」自分の信頼に反する証拠は徹底的に無視し、信頼を確認できる証拠を探すいわゆる“確証偏向”(confirmation bias)だ。

反対に気に入らなければやたらに信じないのが人だ。検察の捜査にまで広がったヒップホップ歌手タブロの学歴偽造論難もそうだ。最近、あるテレビ番組が米国スタンフォード大学の関係者たちに会って彼の在学事実を証明する根拠を提示した。それでもインターネットにはその場を繕ったなど疑惑の声が相変らずだ。タブロ自ら見越したように「信じることができないのではなく、信じたくないために」そうするのだろうから疑惑が簡単になくなるとは思えない。信頼と不信の間に挟まった真実がつまってしまうだけだ。

シン・イェリ論説委員





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