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英ベルファストのクイーンズ大のキース・ジェフリー教授が先週発表した『MI6、秘密情報機関の歴史』は、この隠密な団体の実際の記録を参考にした最初の本だ。英国日刊紙ガーディアンは「グレアム・グリーン、アーサー・ランサム、サマセット・モームがスパイだった事実をMI6が認めた」と題した記事でこの本を紹介した。
この記事の前後に多くの国内外メディアは「これでその間うわさとしてのみ知られてきた作家サマセット・モームの諜報活動が事実と確認された」と一斉に報道した。しかしモームはすでに1928年に『アシェンデン(Ashenden)』というスパイ小説を発表し、第一次世界大戦当時に自分が情報要員だったことを公開した。有名作家という身分を利用し、疑いを避けてロシアのペトログラード(現サントペテルブルク)でボルシェビキ革命を防ぐ任務を遂行したと明らかにしたのだ。
この内容はモームが1938年に書いた自伝的エッセイ『サミングアップ(要約すると)』にも記録されている。「尾行する人を振り切るために使ったさまざまな方法、秘密場所での会合と隠密な通信などはすべて重要なことだったが、当時の私には戦争が現実のようではなかった。いつか書くことになる小説の素材と感じていたにすぎない」。
グレアム・グリーンも第二次世界大戦中に自分が経験した諜報活動の経験をもとに『第三の男』などスパイ小説を執筆したことを隠さなかった。特に1958年に無能なスパイを戯画化した『ハバナの男(Our Man in Havana』がベストセラーになると、激憤したMI6は一時、グリーンを情報保護法違反で告訴する計画も立てた(アーネスト・グォルマン著『20世紀情報戦の歴史』)。
数十年前に公開された事実が「ニュース」として待遇を受ける状況については、同じ英国メディアが先に批判し始めた。別の日刊紙インディペンデントは24日付のコラムで「こういうヘッドラインはモームやグリーンの伝記を読んだ人たちには実にあきれるものだ」と皮肉ったりもした。ニュース生産者の無知で特ダネでない特ダネが量産されている現象は国内のオンライン環境ではあまりにも馴染み深いことだ。さらに今回の事件はオフラインメディアは例外でないことを見せた。
ニューヨークタイムズのアーサー・ザルツバーガー会長は今月8日、「未来のある時点には私たちも紙の新聞をやめることになるだろう」と発言した。オンラインメディアとオールドメディアの区分が次第に薄まる状況でニュースの品質はどう維持されるのだろうか。言論人の課題だ。
ソン・ウォンソプJES記者
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