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【社説】公正と分け合いの意味を考えさせる秋夕

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
全国的に約4000万人が動くという今年の秋夕(チュソク、中秋)は疎通の名節(韓国の盆・正月)だ。毎年秋夕になると、その時期の話頭やイッシューが家族の食卓に上がったりする。06年は北朝鮮の核実験宣言が最大の話題だった。07年は大統領選挙を目前にしていた。しかし野党があまりにも劣勢だったため、人々は大統領選の代わりに「申貞娥(シン・ジョンア)教授の学歴詐称」を話題にした。08年の話題は厳しい生活だった。世界的な金融危機の前で、人々は「経済を回復させてほしいと思って選んだのに…」と不満を表した。09年は世宗(セジョン)市と景気回復だった。世宗市修正は後に結局、廃棄された。

今年の秋夕には公正と親庶民が主要話題になりそうだ。大統領が「公正な社会」をキャッチフレーズに掲げたうえ、聴聞会波動を経て公正という物差しが新たに登場したからだ。また政権が福祉予算を5兆ウォン(約3800億円)も増やし、野党も焦り始めた。ちょうど党権レースも重なり、野党からも「進歩・福祉・親庶民」の声が高まっている。

公正と親庶民の延長線上で、政界は今年の秋夕を控えて「分け合い」を強調している。私財300余億ウォンを出して公益財団を設立した李明博(イ・ミョンバク)大統領は月給1400万ウォンをさまざまな形で寄付している。李大統領は一昨日、「第1回大韓民国分け合い文化大祝祭」に出席し、巨額寄付者を激励した。朴槿恵(パク・クネ)元ハンナラ党代表も異例にも映像を制作し、分け合いを力説した。朴槿恵氏は「どの年よりも大変な夏を送ったが、今年の秋夕は家族に会い、隣人を見ながら、感謝と愛を分け合う温かい時間になればよい」と語った。


しかしこうした政界の分け合いキャンペーンは「公正に分け合う社会」へ進む一つの必要条件にすぎない。もっと重要なのは、社会全体が自省と配慮を通して改革を実践するところにあると考えられる。中央日報創刊特集世論調査によると、国民の73%が「韓国は不公正な社会」と認識している。大統領をはじめとする指導層で「公正と分け合い」に向けた動きがあるが、国民は数十年間蓄積された不公正構造に相変わらず挫折感と剥奪感を感じているのだ。公教育が崩れ、塾など個人的に行う教育市場から不公正が始まり、その教育で負ければ進学・就職競争で敗北し、後に結婚と住宅、そして生活の質で後れをとり、永遠に不公正な人生になるという危機感が、弱者の間に広まっている。

秋夕は慰労の名節だ。猛暑の夏ほど厳しかった1年間を暮らしてきたお互いを慰労し、お互いの存在に感謝し、分け合いと家族の意味をかみしめる時間になればよい。特に今年の秋夕で分け合いという文字が新鮮に感じられるのは、公正という話題が目の前に登場したためだ。『正義とは何か』がベストセラーになったように、秋夕の食卓には公正が上がるだろう。指導者も国民も、公正が名節用の話題で終わるのではなく、社会改革を通して各自の人生に実現されるように頭を悩ませる必要がある。



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