写真:中央日報日本語版
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「潜龍勿用」という言葉ある。 文字通りに解釈すれば「水に浸った龍を使うな」だ。 『周易』の前の部分に見られる。 『周易』は四書三経をなす経書だが、占術書のイメージでより広く認識されたりもする。 しかし『周易』は陰陽の原理に基づいて人間の道理と処世の教えを含んでいる知恵の宝庫だ。 このため『周易』の中の「潜龍勿用」を処世の教訓の側に重みを置いて解釈したりもする。
『周易講義』を書いた暦術人ソ・デウォンがそうだ。 「人格が低く能力が足りなければ、のさばらずに時を待て」ということだ。 潜龍は、宇宙の最初の状態をいう無極の時期、またはその時期にいる人を象徴するという。 人間でいえばまだお腹の中の生命体にしかならないため、どこにも使えないということだ。 潜龍の時であることも知らず、早くからのさばって不覚をとる人たちに、もっと学んで力をつけろという峻厳な教えだ。
東洋で龍は神霊的な動物であり、権威の象徴だった。 帝王を龍に例える理由でもある。 このため王の顔は龍顔、王の椅子は龍床または龍座だ。 王が乗る馬は龍騎、車は龍輿または龍車と呼んだ。 王になる前の段階は潜龍だ。 帝王の地位に上がってこそ飛龍となる。 朝鮮時代の漢城の歴史を記録した『漢京識略』を見ると、仁祖が反正で王位に上がる前にいた私邸の於義宮には潜龍という池があった。 潜龍を自称した仁祖が飛龍の夢をかなえたのだ。
仁祖と逆の場合も歴史の中には多い。 唐の徳宗に反旗を翻した‘朱沘’は長安を占領し、私邸に潜龍宮という名前をつけた。 当時、識者らは「潜龍勿用」を話しながら敗れる兆候だとささやいた。 朱沘は結局、側近に命を奪われ、飛龍の夢をたたんだ。 1997年に新韓国党から離党して独自出馬した李仁済(イ・インジェ)候補の大統領選挙運を見た在野易学者が得た卦が「潜龍勿用」だ。 結果は落選だった。
自由先進党の李会昌(イ・フェチャン)代表が先日、「次の総理は仕事ができる人を選ばなければならず、潜龍になる人はいけない」と述べた。 次期大統領選挙走者を云々した金泰鎬(キム・テホ)総理候補者の落馬を念頭に置いた言葉なのだろう。 任命権者の大統領も、新しい総理候補者に選抜される人も銘記しなければならない言葉、「潜龍勿用」だ。
金南中(キム・ナムジュン)論説委員
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