囚人の脱獄を防ぐ奇抜な方法がある。 囚衣の片方の袖を短くするのだ。 時間が経つと露出したほうの腕の皮膚の色が黒くなる。 「両腕の皮膚の色が違う人＝囚人」と誰でもすぐ分かるため、脱出を企むことができないということだ。 少数の監視者が多数の収容者を効果的に監視できる監獄、いわゆる「パノプティコン（Ｐａｎｏｐｔｉｃｏｎ）」の運営案として英国の功利主義哲学者ジェレミ・ベンサムが提示したアイデアだ。

罪人の身体を他の人たちの目につくように変形させて犯罪の再発を予防するという点で、「墨刑」とも通じる。 皮膚に針で罪名を彫った後、染料で染める刑罰のことだ。 話題のテレビドラマ「推奴（チュノ）」で、逃げて捕まった男女奴婢の顔に「奴」の字と「婢」の字を彫り入れた場面を思い出せばよい。 黥刑または刺字型と呼ばれたこの罰は、もともと古代中国の五刑の一つだった。 中国に服属した契丹族の場合、盗みをして捕まれば初犯は手首、再犯は腕、３犯はひじ、４犯は肩に「賊」の字を刻み込み、５犯目で首をはねたという記録が伝えられている。 その影響で韓国にも導入されたが、生涯にわたり社会構成員から除け者にされる過酷な処罰という理由で英祖の時に廃止されたという。


２６日、インターネットに未成年者対象性犯罪者の写真と名前・住所地などを公開するサイト（www.sexoffender.go.kr）が開設された。 身体に特別な表示を残さなくても社会全体が彼らの犯罪事実を知って監視するという次元で「現代版墨刑」と変わらない。 墨刑の跡は最近ではレーザーできれいに消すことができるだろうが、インターネットに掲載された個人情報は死ぬまで性犯罪者についてまわる「緋文字」の役割をする。 その気になれば切って逃げられる電子足輪、費用がかかり手間もかかる化学的去勢よりも効率性が大きいと考えられる。

もちろん人権侵害が激し過ぎるという指摘もないわけではない。 しかし獣にも劣る性犯罪者から私たちの子どもを守るのがはるかに重要だという声がもっと大きい。 犯罪者の人権保護が英祖の時代より後退していると錯覚してはいけない。 墨刑は主に窃盗犯が対象であり、朝鮮時代は性犯罪者、特に１２歳以下の児童に対する強姦犯は無条件に死刑に処されたのだから。

申芸莉（シン・イェリ）論説委員



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