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【中央時評】北朝鮮食堂の‘イ・ヒョリ’(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
 彼女たちはひたすら注文を受けた。 「一行がこれほど多いのに、これだけで足りますか。足りないでしょうからもう少し注文してはいかがですか」。イ・ヒョリ似の従業員が笑顔でメニューをずっと広げている。 「食べてみて足りなければ注文する」といっても引かない。 他の従業員までも近づいてきて注文を勧めた。 できる限り売り上げを増やそうという内心がそのまま表情に表れていた。 「夏は犬の肉が最高ですが、いかがですか」。「犬肉は食べられない」と答えると、すぐにこう返ってきた。 「犬の肉も食べられないなんて、それでも男性ですか」。聞こえ方によっては気分を害する言葉だった。 客が要らないと言っているのに、しつこく注文しろというのも礼儀がなっていない。 ついに私たちの一人の顔色が変わった。 すると他の一行が止めに入った。 「我慢しろ。 ヒョリなのだから」。私たちは笑いながらその場を済ませた。

しばらくすると、他の北朝鮮食堂と同じように彼女たちは公演を始めた。 ドラムに鍵盤、ベースギター。 質素な構成だった。 かわいい顔に似合った美しい声で韓国の過去の歌謡を歌った。 客が韓国人だけだからだ。 驚くことに韓国の現代歌謡「七甲山」までも歌った。 食事が終わりかけると、彼女たちが近づいてきた。 「最後にさっぱりとした冷麺はいかがですか」。満腹だと言っても効果はなかった。 「麺が入る胃袋は別にあるでしょう?」。今度は必ず追加注文を受けようという頑固な姿だった。 南北の体制も対決もなかった。 恥もなかった。 そこにはただ、お金だけがあった。 「金稼ぎに狂っているのか」。先ほど怒りをこらえていた一行がついに爆発した。 「いっそのこと物乞いの器を出せ」。私たちは当惑して彼を座らせた。 そして急いで食堂を出た。

気まずい雰囲気のため気持ちは沈んでいた。 彼女たちの無礼に腹が立ち、‘イ・ヒョリ’をそうさせた北朝鮮の現実を悲しく思った。 真顔で抗議をすべきだったのか、我慢するのが良かったのか、それとも最初からこういう場所に行くべきでなかったのか、いろんな考えが複雑に絡んだ。 そしてそれは北朝鮮をどう扱うべきかという巨視的な問題に対する眩みでもあった。


曺東昊(チョ・ドンホ)梨花(イファ)女子大学教授・北朝鮮学



【中央時評】北朝鮮食堂の‘イ・ヒョリ’(1)

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