「タイムクラッシュ 超時空カタストロフ(Thrill Seekers)」という興味深い映画を見たことがある。 20世紀に起きた大災難を調査していた主人公が、当時撮影された写真から奇妙な点を見つける。 中折帽をかぶった中年男性の姿が大惨事の各現場で写っていたのだ。 タイタニック号の沈没の時も、ドイツ飛行船ヒンデンブルク号の爆発の時も、男性は写真の中にいた。 とうていありえないことだが、調べてみると、男性は未来からタイムマシンに乗って歴史的な悲劇の現場を‘観光’しにきた人だった(この男性は結局、未来に戻れず横死する)。 考えてみると、タイムマシンさえあれば、このような観光商品を企画して販売する旅行会社も生じるだろう。
スリルシーカーの旅行はダークツーリズム(dark tourism)の一種だ。 アウシュビッツ・ダッハウ収容所、ニューヨークの「グラウンド・ゼロ」、私たちの巨済(コジェ)捕虜収容所のように悲劇の歴史または災難の現場を見回る旅行だ。 北海道の夕張市で行われる「ドキュメンタリーツアー」観光商品はその中でも独特だ。 地方自治体が破産にいたる過程を生々しくみせる‘反面教師’観光であるからだ。
炭鉱都市だった夕張は石炭景気が消え、観光・休養地への変身を図った。 遊園地・博物館・ホテル・スキー場を無分別に建設した。 資金が底をつき、負債が山のように増えたが、粉飾会計で持ちこたえた。 ついに06年7月、財政破綻を宣言した。 財政が回復するまで骨身を削る自救努力をしてのみ国が助けるという状況になったのだ。 夕張市の公務員はその後、半分ほどに減り、3つあった中学校は一つに減った。 来年は6つあった小学校も一つに統廃合される。 他の公共部門予算も次々と削減した。 市立病院も民営化したが、5月には心臓と肺の機能が停止した50代の男性が救急車でこの病院を運ばれたが、診療を拒否されて死亡するという事故が発生し、市全体が騒々しくなった。 札幌など近隣の大都市の人たちが夕張市内の保育園・幼稚園を無料でペイントしたり、高齢者会館の清掃をしたりするなど‘積善’も相次いでいる。 他人の理由のない助けを極度に敬遠する日本人の気質を考えると、まさに‘悲惨’な境遇に転落したのだ。
‘ドキュメンタリーツアー’はその渦中に発揮された商術から誕生した。 「夕張リゾート」という民間会社が運営を預かり、07年7月に始まった。 負の遺産であり‘失敗学’の生きた教材を外地の人にも売ろうということだ。 日本全国の地方自治体の職員、地方議員から教授、大学生、中高生にいたるまで、団体旅行客が次々と訪ねてきた。 夕張市の‘破産’のニュースが韓国にも広く伝えられたおかげで、安養(アンヤン)・公州(コンジュシ)市など国内の地方自治体職員も旅行へ行った。 昨日、夕張リゾートの関係者に国際電話で尋ねてみると、「年間1000人以上が観光に来るが、そのうち300人ほどが韓国など海外からの客」と話した。
厳密に言うと、夕張市は‘破産’でない。 夕張市の現在の法的状態は「財政再建団体」だ。 昨年4月に改正された「地方財政健全化法」に基づいて実質赤字比率など4つの指数を測定し、政府が付与した恥ずかしい地位だ。 韓国の地方自治体は安全か。 「地方財政法」に基づき行政安全部が地方自治体の財政を分析・診断している。 財政診断対象団体には財政健全化のための各種改善策を勧告できる。 しかし城南市(ソンナムシ)のあきれるような債務支払猶予(モラトリアム)宣言を契機に再び浮上した地方自治体の放漫な財政を見ると、とうてい安心できる状況ではなさそうだ。 年末が迫れば何の問題もない歩道のブロックを入れ替え、山奥にスキー場・ホテルを建てる光景を見るのは1、2度でない。 かといって最近の経験上、地方議会だけに任せることもできない。 国民一人ひとりが目を大きく開いて、自分の税金がどこに流れているか監視しなければならない。 それとも、地方自治体を一つを試験ケースとして潰れるように放置し、旅行商品を一つ新しく誕生させてみてもよいが。
盧在賢(ノ・ジェヒョン)論説委員・文化専門記者
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炭鉱都市だった夕張は石炭景気が消え、観光・休養地への変身を図った。 遊園地・博物館・ホテル・スキー場を無分別に建設した。 資金が底をつき、負債が山のように増えたが、粉飾会計で持ちこたえた。 ついに06年7月、財政破綻を宣言した。 財政が回復するまで骨身を削る自救努力をしてのみ国が助けるという状況になったのだ。 夕張市の公務員はその後、半分ほどに減り、3つあった中学校は一つに減った。 来年は6つあった小学校も一つに統廃合される。 他の公共部門予算も次々と削減した。 市立病院も民営化したが、5月には心臓と肺の機能が停止した50代の男性が救急車でこの病院を運ばれたが、診療を拒否されて死亡するという事故が発生し、市全体が騒々しくなった。 札幌など近隣の大都市の人たちが夕張市内の保育園・幼稚園を無料でペイントしたり、高齢者会館の清掃をしたりするなど‘積善’も相次いでいる。 他人の理由のない助けを極度に敬遠する日本人の気質を考えると、まさに‘悲惨’な境遇に転落したのだ。
‘ドキュメンタリーツアー’はその渦中に発揮された商術から誕生した。 「夕張リゾート」という民間会社が運営を預かり、07年7月に始まった。 負の遺産であり‘失敗学’の生きた教材を外地の人にも売ろうということだ。 日本全国の地方自治体の職員、地方議員から教授、大学生、中高生にいたるまで、団体旅行客が次々と訪ねてきた。 夕張市の‘破産’のニュースが韓国にも広く伝えられたおかげで、安養(アンヤン)・公州(コンジュシ)市など国内の地方自治体職員も旅行へ行った。 昨日、夕張リゾートの関係者に国際電話で尋ねてみると、「年間1000人以上が観光に来るが、そのうち300人ほどが韓国など海外からの客」と話した。
厳密に言うと、夕張市は‘破産’でない。 夕張市の現在の法的状態は「財政再建団体」だ。 昨年4月に改正された「地方財政健全化法」に基づいて実質赤字比率など4つの指数を測定し、政府が付与した恥ずかしい地位だ。 韓国の地方自治体は安全か。 「地方財政法」に基づき行政安全部が地方自治体の財政を分析・診断している。 財政診断対象団体には財政健全化のための各種改善策を勧告できる。 しかし城南市(ソンナムシ)のあきれるような債務支払猶予(モラトリアム)宣言を契機に再び浮上した地方自治体の放漫な財政を見ると、とうてい安心できる状況ではなさそうだ。 年末が迫れば何の問題もない歩道のブロックを入れ替え、山奥にスキー場・ホテルを建てる光景を見るのは1、2度でない。 かといって最近の経験上、地方議会だけに任せることもできない。 国民一人ひとりが目を大きく開いて、自分の税金がどこに流れているか監視しなければならない。 それとも、地方自治体を一つを試験ケースとして潰れるように放置し、旅行商品を一つ新しく誕生させてみてもよいが。
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