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先月16日、南ア共和国ワールドカップG組予選北朝鮮とブラジルの試合。北朝鮮国家が鳴らすと鄭大世(チョン・デセ、26)選手は止めどもなく涙を流していた。「最高のチームを相手にするので感極まった」という本人の説明とは別に人々は“また違う意味”で涙を読んだ。韓国国籍を持っているのに北朝鮮代表で出場した在日韓国人鄭大世。韓国、北朝鮮、日本の間に立つ境界人の涙だ。
最近、その涙の話を盛り込んだ本が翻訳された。在日韓国人3世スポーツ・ライターである慎武宏さん(39)の書いた「祖国、母国、そしてフットボール」だ。3月、日本で出版され朝日新聞などで紹介されながら好評を博したこの本は、Jリーグ選手ながらそれぞれ南北、日本の国家代表として活躍する「在日」選手たちの話を盛り込んだ。鄭大世を含み、北朝鮮代表ながらKリーグで活躍した安英学(アン・ヨンハク、31)、「朝鮮」籍を持って北朝鮮代表として活躍したリャン・ヨンギ(28)、リ・ハンジェ(28)、韓国籍でKリーグ選手として活動したパク・カンジョ(30)、チョン・ヨンデ(31)、帰化して日本国家代表になった李忠誠(25)選手らだ。
先月30日、電話でインタビューした慎武宏さんの韓国語は上手だった。小、中、高校と朝鮮学校に通ったからだ。
「大学から日本の学校に通いました。日本社会に対する恐ろしさがありましたが、友達もできて共感する部分が多かったんですよ。ところで就職をしようとしたら難しい。50ほど志願したが、そのうえ落ちて面接では“韓国や北朝鮮に帰ることはないか”という質問も受けたんです」
「インタビューした選手たちの話が自分のことのようだった」というのはこうした理由だ。そのやっぱり大部分の選手のように朝鮮学校を出たし、韓国籍を持つ前には「朝鮮」籍だった。日本は敗亡後、在日韓国人の国籍を「朝鮮」で処理した。大韓帝国や大韓民国臨時政府を認めず、すでに消えた歴史の中の国、朝鮮の国籍を付けたのだ。1963年韓日修交以後、多い在日人は「大韓民国」国籍を取得した。そうではない在日人は皆「朝鮮」人なのに、これは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)ではなく地球上に存在しない国であるわけだ。鄭大世選手の場合、お母さんは「朝鮮」だがお父さんは「韓国」であるから韓国籍を持つようになったケースだ。そんな鄭選手も小、中、高校、大学まで朝鮮学校を出た。本の中の選手は皆朝鮮学校出身だ。日本内に朝鮮総連系朝鮮学校は80校、韓国と近い民団が運営する韓国学校は4校にすぎない。
「普通は高校まで朝鮮学校に通うが韓国語と歴史を教わり、日本名も書きません。揺らぐことなく暮らすので、子供たちは民族心も強い。ところで学校が朝鮮総連系だから北朝鮮に対したこともたくさん教えられ…。自然に祖国は北朝鮮だという考えを持つようになります。私もそうでした」
「韓国籍に北朝鮮代表、鄭大世の人生は歴史が生んだ矛盾」(2)
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