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【噴水台】ニセ生命水

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

(写真:中央日報日本語版)



 説話や民譚で生命を生かす物質としてよく登場するのが水だ。まさに生命水だ。水がこの世の万物の源泉であり、人間生命の根源であることと無関係ではないはずだ。オググッ(死人の魂を慰めて極楽往生させる巫女の儀式)に使われる巫歌「バリ姫説話」もそうだ。オグ大王の7番目の娘として生まれて捨てられたバリが、父の病気がよくなるようにと手に入れてきたのが西天西域国にある生命水だ。生命水はすでに死んだオグ大王の骨と肉に息を吹き込む奇跡を起こす。

現実の中にも‘奇跡の水’と呼ばれる生命水がある。仏ルルド地方の聖水がその中でも筆頭に挙げられる。1858年にベルナデットという14歳の少女がマサビエルの洞窟で発見した湧き水だ。天然ゲルマニウムなどが豊富な鉱泉だ。1912年のノーベル医学受賞者アレクシス・カレル博士が「ルルドの湧き水には病気治療効果がある」という報告書を出した後、さらに有名になった。泉の入口には完治した人たちが置いて行った数多くの松葉杖があるという。


独ノルデナウ地方の廃鉱で発見された洞窟水は政府が治癒能力を立証した医療用鉱泉水だ。チェルノブイリ原発事故で白血病に苦しむ患者がこの水のおかげでよくなったという。メキシコのトラコテ村の井戸水も有名だ。総合病院の臨床試験の結果、アレルギー、皮膚病、消化器疾患、糖尿病など200余種の病気に平均80%の治療効果があったという。

‘ロレンツォのオイル’は人が作った生命水といえる。米国の銀行職員オーギュスト・オドーネが副腎白質ジストロフィー(ALD)という不治の病にかかった息子ロレンツォを治すために抽出した純粋なオリーブ油だ。同じ病気で苦しむ数多くの子どもたちの生命を助けている。飲み方を間違えれば毒になるがうまく飲めば薬になる酒にも、生命水の意味が込められている。ウイスキーの語源であるラテン語「アクアビタイ」(aqua vitae)は‘生命の水’という意味だ。私たちの先祖が酒を薬酒といったのもこうした意味だったのではないだろうか。

名門大医大の教授が偽物の‘万病統治生命水’製造機を作って販売した容疑で警察に摘発された。どんな水でもルルド聖水の成分が入った‘奇跡の生命水’に作れると壮語したという。しかし‘韓国版ロレンツォオイル製造者’で通じていた彼の生命水は検査の結果、飲むこともできない水だった。生命の水ではなく死の水だったのだ。真の生命水を作る日は果たしてくるのだろうか。

キム・ナムジュン論説委員



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