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「私の名前はマリアム・アバチャ。私はナイジェリア大統領の夫人です。スイス口座に凍結されている5000万ドルをおろせるよう手伝ってくれれば30%を謝礼します」よく「ナイジェリア詐欺」と呼ばれる電子メールの典型だ。急に巨額を得る夢にふくらんで世界各国で被害者が続出した。
サニ・アバチャ元大統領が石油輸出で蓄えた莫大な国富を海外に持ち出したのが事実だと分かるとみんな夢中になった。当時、高位官僚層はもちろん軍人・警察たちまで便乗して不正蓄財に血眼になった。そのせいで執権5年の間、全国民の80%が貧困層に転落するなど民生はたちまち落ち込んだ。
唯一のなぐさめがまさにサッカーだった。国民は国家代表チーム“スーパーイーグルス”の試合を見て疲弊した人生を忘れた。ナイジェリアでは、宗教ではなくサッカーが麻薬だ。それをよく知るアバチャは支援を惜しまなかった。彼の任期中の1994年、ナイジェリアがワールドカップ本選に初めて進出し、96年五輪で優勝したのは偶然ではない。98年にもワールドカップ本戦に出た代表チームは第1戦を5日に控えてアバチャが急逝したという悲報に接した。哀悼の意で一斉に黒の腕章をつけた選手たちは「無敵艦隊」スペインに3-2で逆転勝ちをおさめるサプライズを演出した。そのころナイジェリアのあちこちに沸き立った民主化要求デモも、この日1日は皆、応援に夢中で静かだったという。
政治、いや世の中のその何よりサッカーを優先視するナイジェリアの国民性は昨年末、大統領失踪事件でも明らかになった。ウマル・ムサ・ヤラドゥア当時大統領が心臓手術を受けた後、8週間も公式席上から消えた。しかし人々の関心はたちどころに今年初め、アンゴラで行われたアフリカ・ネーションズカップ大会に移った。数日後、潜伏をやめてBBCとインタビューを行った大統領の最後の言葉もこうだった。「“スーパーイーグルス”の善戦を祈る!」
このように格別な声援をもらうイーグルたちと大極戦士たちが明日未明、一本勝負をする。98年スペイン戦で決勝ゴールを入れたサンデー・オリセーは「国民のために勝ちたかった。彼らは勝利を享受する資格がある」と言った。資格で見ると雨の中にも、夜明けにも赤い波を成して「12番目の選手」として活躍する私たち国民も決して立ち後れていないだろう。大韓民国とナイジェリア、どっちが勝利に対して切迫しているのか。執念の大きさが明日の勝負をつけるだろう。
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