財産は築くのも難しいが、守るのも難しい。 このため荘子は財産を守ろうと知恵をしぼるのは泥棒のために準備するのと同じだと説破した。 「箱を開いて、袋の中をあさり、櫃を開ける泥棒に対応するには、必ず縄でくくり、錠を掛ける。 これが世の中の知恵だ。 しかし大泥棒は櫃を担ぎ、箱を持って、袋を背負って逃げながら、縄と錠が解けないか心配する。 このため世の中の知恵というものは、大泥棒のために財物をまとめることではないのか」。

それでも富に対する渇望は原初的だ。 聖書で「ラクダが針孔を通過するのは、金持ちが天国に入ることより易しい」というのは、これを警戒したものだ。 誤訳をめぐる論議があるとはいえ。 アラブ語の原語では綱（ｇａｍｔａ）だが、筆写本を作った人がラクダ（ｇａｍｌａ）と誤って訳したという説だ。 それでも綱もラクダも針孔を通過するのは難しいのは同じだ。


私たちにも財物と関連した「金言」がある。 「見金如石」だ。 黄金を石の如く見ろということだ。 高麗（コリョ）の名将・崔瑩（チェ・ヨン）将軍の父の遺言と知られている。 そのためか。 崔瑩は富貴功名を享受する位置にいながらも限りなく清廉で節制した。 まったく欲がなく、墓さえも草が生えない‘赤墳’の主人公だ。 これらすべてが「空手来空手去」人生で手に入る富のはかなさを教える。

マイクロソフトのビル・ゲイツと投資の鬼才ウォーレン・バフェットが「財産の半分寄付」運動を繰り広げているという。 フォーブス「４００大米国富豪」リストが対象だ。 みんなが賛同すれば６０００億ドルに達するという。 昨年５月の最初の会合には石油財閥デビッド・ロックフェラーとマイケル・ブルームバーグ市長、オプラ・ウィンフリーらが出席した。

ウォーレン・バフェットは２００６年、財産の８５％の３７０億ドルをビル＆メリンダ・ゲイツ財団に寄付している。 「金持ちで死ぬのは恥ずかしいこと」というアンドリュー・カーネギーの教えに従ったという。 朝鮮の巨商・金万徳（キム・マンドク）もいる。 済州（チェジュ）で凶年になると、全財産をはたいて救助に乗り出した。 富の社会還元だ。 このように‘清富’は倉庫ではなく人々の胸に積むものだ。

バフェットは「子どもに財産をあまりにもたくさん残すと何もしない」と述べた。 「魚を与えれば一食にしかならないが、魚を獲る方法を教えれば生涯食べていける」。タルムードの教えだ。　

朴鍾権（パク・ジョングォン）論説委員



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