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弁髪は英語で「pigtail」だ。 男性の頭の後ろの髪の毛だけ残してすべて剃り、その部分を長く編んで垂らした形が「豚の尻尾」に似ているからだろう。 1644年に満洲族が北京を占領した後、真っ先に漢族に強要したのがまさにこの弁髪だった。 「髪の毛を残そうとするのなら頭を残すな」。100万人の少数満洲族が1億人の絶対多数の漢族に強要した降伏と服従のレッテルだったということだ。 無慈悲な弾圧で漢族の精神を弱めた満洲族は1911年の辛亥革命まで広大な帝国を経営する。
今日では多数を少数が支配するのは容易ではない。 ワールドカップ(W杯)が開催されている南アフリカ共和国でも、かつて少数の白人政権が過酷な白黒分離政策を繰り広げたことがある。 しかし人類の敵に追い込まれた白人政権は国際的に孤立した。 そしてヒトラーの狂気のように教訓の歴史になって消えた。
いまや少数が多数を圧倒するのはスポーツの世界でのみ可能だ。 特にサッカーW杯がそうだ。 14億人の人口の中国は、2002年韓日W杯当時、一度だけ本大会に顔を出した。 韓国と日本に封じられていた中国は、両国が主催国資格で本大会に出場したおかげで出場チケットをつかんだ。 12億人の人口のインドもW杯といえばサッカーではなくクリケット試合から思い浮かべる国だ。 北京オリンピック(五輪)当時、28年ぶりに金メダルを獲得して熱狂のるつぼになった国がインドだ。 人口128万人でW杯本大会に堂々と出場したカタールなどの小国と比較すると、とうてい理解しがたい現象だ。
かといって人口や経済力がサッカーの実力と関係がないと言えるだろうか。 有数の金融機関がその時期になると出すW杯勝負予測は、歴代成績と選手戦力だけでなく、人口・経済力・株価など経済要因まで全般的に考慮したものだ。 ゴールドマンサックスとUBSはグローバル危機の中でも好調が続くブラジルをいち早くW杯優勝国と予想した。
韓国が2対0で降したギリシャは財政危機の震源地だ。 倉庫を空っぽにしてぶくぶく太る、いわゆる豚(PIGS:ポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペイン)の代表走者だ。 ゴールドマンサックスが計算したW杯優勝確率は韓国が0.76%、ギリシャが1.84%。 韓国の勝利が異変といえばこれも異変である理由だ。 財政危機がサッカーの実力を低めたのかどうかを判断する方法はないが、気持ちの緩んだ選手から危機のPIGSを連想するのは人之常情なのだろう。
許貴植(ホ・クィシク)経済部門次長
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