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「息子の結婚式とイングランド代表チームのワールドカップ(W杯)試合が重なれば、息子の結婚式はビデオで見る」。まさに家族から捨てられそうな分別のない発言をしたのは英国作家ニック・ホンビ氏だ。 サッカーファンには『フィーバー・ピッチ(Fever Pitch)』というサッカーエッセーで有名なあの人だ。
ホンビ氏は英国プロサッカーチーム、アーセナルの熱狂的なファンだ。 少年時代から「(アーセナルの)試合がある日の朝には胸がつかえる感じで、2ゴール差でリードしてこそ落ち着く」症状に苦しんだ。 「サッカーは私を、妻がある瞬間に子を出産すると言っても病院に一緒に行かない人間にした」。いつかアーセナルがFAカップ決勝戦に臨む日、ちょうど子どもが生まれるという光景を想像した、どうしようもないサッカー狂の告白だ。
ホンビ氏のような男性をかっこいいと感じる女性はほとんどいない。 スポーツに対する男性の行き過ぎた没入は、男女の疎通断絶を招きやすい。 特にワールドカップ(W杯)シーズンは男性と女性の趣向の差が集団的に表れる時期だ。 サッカーを「卑劣な犬の戦い」と蔑視したオランダ人学者ボイテンディク氏ほどではないとしても、女性はまだサッカーを「22人がボール一つを必死に90分間追いかける」ものと考えている。
疎通断絶は片方の疎外を生む。 2006年ドイツW杯当時にヨーロッパに登場した‘W杯未亡人(worldcup widow)’がそれだ。 「ただの未亡人は遺産を譲り受けたり、他の人たちの同情を買ったりするが、W杯未亡人はそういうものもない」という笑い話が広まるほどだ。 W杯未亡人はかつての韓国で釣りブームとともに社会的問題になった‘日曜未亡人’よりひどい。 釣りは夫一人で行くが、サッカーは息子までも巻き込むからだ。
一方、サッカーを好む自分を理解してくれる女性に対する男性のロマンは大きくなるばかりだ。 女性スポーツMCイ・ウンハ氏が書いた『サッカーが分かる女性』の推薦文で、アナウンサーのキム・ソンジュは「男性は軍隊に行ってサッカーをした話に共感する女性に熱狂する」と言った。 小説『妻が結婚した』の主人公イナのように、子どもが生まれれば‘ジダン・ナンバーワン’という意味で‘ジワン’と名付けるという女性の言葉だ。 南アフリカW杯が4日後に開幕する。 W杯を控え、‘サッカーを知ろう’という本が相次いで登場し、文化講座も開設されたという。 対象はほとんど女性だ。 「サッカーが分かる女性」になろうというキャンペーンとでも言えようか。 ‘狂’と‘未亡人’の妥協点が見つかるのなら、サッカーが少し分かる女性になっても悪くはないと思うが。
奇宣ミン(キ・ソンミン)文化スポーツ部門記者
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