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【噴水台】下女

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版



1960年11月2日、金綺永(キム・ギヨン)監督の映画「下女」(ハニョ)は明宝(ミョンボ)劇場で公開されるやいなや話題の焦点になった。下女が家の主人の男との不倫で中産層家庭を破滅させる内容のこの映画は、強烈な悪女キャラクターと独特で陰うつな雰囲気で観客たちを魅了した。慶北金泉(キョンブク・キムチョン)である下女が痴情問題で小さな子どもを殺害した猟奇的な事件が背景になったという点も関心を集めた。

その年「下女」は10万観客を動員して申相玉(シン・サンオク)監督の「ロマンスパパ」と肩を並べ、61年、韓国最優秀映画賞でも監督賞と新人賞(イ・ウンシム)など5部門を獲得した。以後、金綺永は「下女」の延長線上にある「化女」(ファニョ、1971)、「蟲女」(チュンニョ、1972)などで独創的な映画世界を発展させた。


しかし80年代以後、金綺永は徐々に忘れられた。彼にまたスポットが当たったのは、97年第2回釜山映画祭でのことだ。98年、彼が死亡するとベルリン映画祭は異例的な回顧展を用意し、2003年、世界的権威のあるフランス映画専門誌「カイエ・デュ・シネマ」(Cahiers du cinéma)編集長、ジャン=ミシェル・フロドンは「下女」に対して「製作40年後こそこんな映画に接したということは奇跡のようなこと」とし、賛嘆を惜しまなかった。

以後、多くの映画祭で金綺永の作品が集中的に紹介され、やっと2008年韓国映像資料院は世界映画財団(WCF)の支援で残っている「下女」のフィルムをDVDで修復した。おかげで今「下女」はほかの韓国映画のクラシックに比べて容易に手に入れて見ることができる映画となった。

イム・サンス監督がリメークしたチョン・ドヨン主演の「下女」が、今回のカンヌ映画祭で好評を博している。新「下女」は23日に閉幕する今回の映画祭で李滄東(イ・チャンドン)監督の「詩」とともに韓国映画どうしで受賞を争うとみられる。50歳を迎えた「下女」の華麗な再起と呼ぶに値する。

しかし50年後にまでインスピレーションを失わずにいる「下女」がこの20年間、少数の専門家集団を除き、忘れられた映画でだったということ、海外の好評が続いた後で初めて本格的な復元と再照明が行われたという現実は相変わらずややさびしいことだ。世間の関心は韓国映画が有名映画祭で受賞する時に五輪の金メダルのように歓呼するだけで、こんな栄光の礎石となった昨日の古典を自ら再評価して保存するところまでは及ばない。どれだけ多くの「下女」がほこりの中で眠っているか。

ソン・ウォンソプJES記者





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