|
アフロ(丸くちぢれたくせ毛)スタイルの40代男性が米国のマンハッタン14番街を歩いていた。パトロールカーが急に止まったかと思ったら警察官3人が走り出て彼をつかまえた。警察官は「手配中の性犯罪者のようだ」と40代男性に犯人のモンタージュと人相着衣を押しつけた。
40代の男性は警察が見せた内容を見て開いた口が塞がらなかった。犯人は自分より背がずっと高く、体重も多かった。年も15歳ぐらい下に見えた。唯一の共通点はちぢれたくせ毛だけ。すったもんだの末、警察は20分ほどで彼を釈放した。「ティッピングポイント」の著者マルコム・グラッドウェルを。
グラッドウェルは年・身長・体重のような明白な特徴を圧倒したくせ毛の力に驚いた。彼はこの経験をもとにまた別のベストセラー「第1感最初の2秒のなんとなくが正しい」を書いた。そしてこの「くせ毛事件」を感謝の言葉の冒頭に書いた。
グラッドウェルはくせ毛のせいで性犯罪者として追われたが、古代西洋でくせ毛は羨望の対象だった。ユリウス・カエサルはガリアを征服した後、ガリアの人々の長い巻き毛をちょっと切ってかつらを作った。勝戦した兵士が巻き毛のかつらをかぶって帰国できるように。巻き毛のかつらを用意できなかった一般ローマ人たちは、下がった巻き毛を描いて額に入れたりした。B.C.450年ごろ、アエクイ族の脅威からローマを救出した“偉大な独裁官(ディクタトル、dictator)”ルキウス・キンクチウスは「キンキナトゥス」と呼ばれた。くせ毛という意味だ。
18世紀、イギリスの風刺画家ウィリアム・ホガースは「こめかみに下がった1本のくせ毛はあまりにも魅惑的なので上品を装ってただ座っていることができない」と言った。イギリスのジェームズ2世は肩の上で丸くカールした巨大なくせ毛のかつらを愛好した。今日、イギリス王立裁判所の法官たちが長い巻き毛のかつらを使うのもこの時の影響だと言える。(リンダ・ソンタグ「Seduction through the Ages」)
最近、我が国では「検察のパーマヘア」が話題だ。ハンナラ党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員が「検察幹部という人がパーマをかけたとかかけないとか…国民が検察をどれだけ笑い者にしているか」「このごろの検事たちはパーマでもかけて、仕事は後回しにして…」などいわゆる「パーマ発言」をした。キム・ジュンギュ検察総長は「私は元々くせ毛なのに『パーマをかけた』という。検察を見る目もそんな見方」と反論した。はて。生まれつきのくせ毛でも、パーマ髪でも、巻き毛のかつらを使うにしても何の関係があるのか。
ク・ヒリョン社会部記者
この記事を読んで…