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4泊5日間ずっと複雑な気持ちだった。金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の5度目の訪中を現地で取材しながらの所感だ。北朝鮮の新義州と向き合う中国の丹東を07年と昨年12月に取材した当時の印象と同じだった。溶鉱炉のように沸々とわく大連と天津の中国経済現場を金委員長が訪れた場面、50台の高級乗用車に乗って中国の首都・北京の超高層ビルの間を金委員長の一行が走る場面を見ながらも、複雑な感情になった。「天地開闢」だと感心した金委員長の肉声の告白のように30年間の改革・開放で経済を飛躍させた中国、扉を固く閉ざして主体(チュチェ)思想と自力更正だけを叫んできた北朝鮮。隣合う両国が黒と白のように鮮明に対比され、切なくなった。
こうした克明な差は、ともに1942年生まれの両国指導者の統治スタイルに基づくものと考えられる。指導者がどう考え、どんな政治をするかによって、国家の明暗が分かれ、民の運命が決定されるためだ。金正日委員長(2月16日生まれ)と胡錦濤(12月21日生まれ)国家主席の人生の軌跡は似通いながらも異なる。最高学部の金日成(キム・イルソン)総合大学と清華大学をそれぞれ卒業した。政治経済学を専攻して宣伝とイデオロギーに明るい金委員長とは違い、胡主席は理工系テクノクラートで現場での経験が豊富だった。
80年代初め、2人は似たスタートラインに立った。金委員長は80年に金日成の世襲後継者となり、胡主席は能力が認められて82年に共産主義青年団(共青団)書記に抜てきされた。しかし約30年が過ぎた今、2人は全く違う現実と向き合っている。
胡主席は「実事求是」を重視する最高経営者(CEO)型リーダーシップを実践した。腹を満たす温飽念願を解決し、「以人為本」で国民の支持を受けている。全世界の人と金が「チャイナドリーム」を夢見て中国に集まっている。米国と肩を並べる主要2カ国(G2)にまで成長した。党内の合意を通して後継者も順調に内定した。一方の金委員長はどうか。教祖的な統治スタイルを固守するだけで改革は進まず、韓国と米国への責任転嫁で一貫してきた。人民に米や肉のスープを食べさせられずにいる。人民は「生きていけない」と言って北朝鮮を脱出する。王朝時代に見られた3代世襲を強行する態勢だ。
金委員長は今回、胡主席との会談で意味深長な言葉を述べた。金委員長は「4年ぶりに中国を訪問したが、中国が成し遂げた発展を改めて理解し感じた。人民の生活水準を不断に高めていくのが私の核心任務」と吐露した。金委員長が生前にまた中国を訪問するかどうかは分からない。しかし5度も訪問しただけに、中国がなぜこのように発展し、北朝鮮がなぜこれほど後れたか十分に悟ったはずだ。もう言葉ではなく実践で北朝鮮の変化を見せなければならない。金委員長に多くの時間は残されていない。
チャン・セジョン北京特派員
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