日本は長年の経済沈滞と中国の浮上に傷ついたプライドを軍事力拡張を通じて取り返そうとしている。軍費拡張を足がかりとし「正常国家」に変身し、対等な日米同盟関係を維持するというのも結局は米国に対するプライドを回復し、新しい強大国である中国を牽制するという話だ。中国は後れた軍事力を現代化して台湾の分離独立を阻むという名文の下に国防分野に莫大な投資をしている。経済力にふさわしい軍事力をもつ「正常国家」にならなければならないという主張だ。しかしこれまた何の安保の脅威が存在しない状況でＧ２（米国、中国）の相対国である米国に匹敵する軍事力をもっているというプライドが作用しているものとみられる。

韓国は戦時作戦権の転換を通じて米国と対等な同盟関係を樹立し、自主国防の枠組みを整えるという。これまで仕方なく北東アジアの「覇権国」である米国に安保面で頼ってきたが、非対称的な同盟の枠組みを壊して国家のプライドを回復しようとしているのだ。

これは見方によって当然のことだ。実は韓日中３カ国はすべてある意味で非正常的な国々だった。世界２位の経済大国である日本には正規軍がない。北朝鮮との体制競争で丸勝ちした韓国は相変らず戦時作戦権を米軍に付与している。今こそ日本を抜いて世界２位の経済大国として浮上中の中国の軍事力も数としては強いが、戦略と先端装備などにおいては劣悪な状態を免れることができない。


もう経済的な余裕が生じて国際社会で声が大きくなり始めた国々が自主的な国防力をもとうとすることは国家のプライドと不可分の関係にある。これは自然なことでもある。経済危機を経てイラクとアフガニスタンに神経を使わざるを得ない米国は、韓国と日本の軍備増強を督励している状況だ。

しかし北東アジア全体の戦略的構図を見たとき、これは甚だしく懸念される現象だ。北朝鮮の軍事的脅威が続き、強盛日本・中国の間でうずき、辛い歴史を経験した韓国としては特にそうだ。日本と中国がともに経済力と軍事力を兼備した「正常国家」に浮上するようになったら韓国の安保状況は極度に悪化するのが明らかだ。東北アジア安保共同体を急いで推進しなければならない理由の一つだ。

国家安保はプライドの問題でもあるが、これより現実の問題だ。北東アジアの平和と繁栄は韓日中３国が国家のプライドを捨てて国防より経済に力を注いで得た尊い実だ。いまだに冷戦の残滓である北朝鮮が持ちこたえており、地域安保の責任を担う安保共同体も形成されない状況で、米国と違う国に対する不器用なプライドを掲げれば韓日中がこれまで成したすべてのものを危険に陥れることができる。北東アジア３国の成熟した国民意識と賢いリーダーシップが要求される時点だ。



【コラム】韓日中でプライドを掲げて力比べする時ではない（１）