中国人民元の切り上げ問題が対話で解決する方向に動いている。 米国政府は中国を為替レート操作国に指定する報告書の発表を先送りした。 中国もこれに応えて強硬立場を和らげ、人民元切り上げに向かう準備を整えている。 こうした雰囲気の中、ガイトナー米財務長官が電撃的に中国を訪問する。 中国の胡錦濤・国家主席のワシントン核安保首脳会議出席(12日)前に、人民元をめぐる葛藤を解消するための手続きとみられる。 米中はもちろん、全世界にとっても幸いだ。
世界経済の不均衡を緩和するには人民元切り上げは避けられない措置だ。 自分だけ輸出を増やそうと中国がいつまでも人民元の人為的低評価に固執することは不可能だ。 秩序ある人民元切り上げは中国にも助けになる。 中国の1-3月期の経済成長率(推定値)は12-13%と、グローバル経済危機前の水準を完全に回復した。 依然として統制可能な範囲だと主張するが、不動産と生活必需品の価格を見ると懸念される。 中国は相変わらず利上げには消極的だ。 それなら、その代案として、人民元切り上げで経済安定を誘導することを積極的に検討してみる必要がある。
中国はすでに立派な経験を持っている。 05年7月から08年6月まで3年間にわたり、人民元の価値を12%も漸進的に高めた。 にもかかわらず、この期間、中国経済は順調だった。 今回も秩序ある人民元の再評価は、中国経済に劇薬ではなく補薬になる可能性が高い。 ただ、1985年のプラザ合意以後の日本の失敗は反面教師にするべきだ。 長期間にわたり段階的に人民元価値を現実化させてこそ、中国は為替ショックを避けられる。
人民元の切り上げが可視圏に入り、ひとまず一息つく雰囲気だ。 しかし本格的な葛藤は始まったばかりで、終わったわけではない。 すぐにも切り上げ方式と切り上げ幅をめぐる第2ラウンドが待っている。 米国は速いペースでの大幅切り上げを要求している。 一部のタカ派は、この機会に中国はドル連動制から自由変動制に進むべきだという立場だ。 半面、中国政府は人民元を小幅切り上げした後、現在0.5%以内に制限している一日の為替レート変動幅を順次拡大していく方法へと向かう考えだ。
中国は韓国の最大貿易国だ。 人民元の再評価は当然、韓国経済への大きな影響を予告する。 短期的には対中輸出が増えるだろうが、長期的に見ると中国経済の成長鈍化が韓国に負担として作用する公算が大きい。 韓国ウォンも同時に値上がり圧力に露出されるのは明らかだ。 諸刃の剣だ。 韓国としては人民元の秩序ある再評価が最善だ。 主要20カ国・地域(G20)議長国として漸進的な切り上げが行われるよう国際協力を強化する必要がある。 同時に、業種別に人民元再評価による影響を分析し、対策の用意を急がなければならない。 予想より速い人民元切り上げが目の前に迫っている。
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